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「厳選!ESGファンド選びの5STEP」

 今注目を集めているESG投資。ESG投資は、持続可能な社会の実現に貢献する企業を応援する投資スタイルで、中長期的に安定的かつ市場平均を上回る投資収益を得られることが期待されています。実際、GSIAによる調査によると、世界の2020年のESG投資額は、35兆3千億ドル(日本円で約3880兆円)にのぼり、2年前に比べて15%も投資額が増加しているんです。日本は32%増の2兆8740億ドル(約320兆円)に到達しています。

 そんな今人気のESGですが、個人投資家は、ESG投資を実践するためには何を重視するべきなのでしょうか? そこで、今回のブログでは、数あるESG投資信託の中から、自分にぴったりのファンドを選ぶための「ESGファンド選びの5STEP」について、詳しく解説していきます!

 *本ブログは、7月25日に開催した、オンラインイベント「ESG SCHOOL #5 ESG投資実践のコツ」 の内容を基に作成しています。

目次

STEP1: 何のために投資する?【あなたのリスク許容度は? 】

 そもそも、投資することにはリスクが生じるものです。(資産価値が上がったり、下がったりします)。そのため、最初は、あなた自身がどのくらいのリスクを負う覚悟があるかを決める必要があります。これは投資の第一法則だと言う人もいるほどで、まずこのことを心に留めておくことが重要です。リスクが高ければ高いほど、リターン(また は損失)が大きくなる可能性があり、リスクの低い資産に投資する場合、期待されるリターン(または損失)の割合は小さくなることが多いです。

 今回の「ESGファンド選びの5STEP」は主に投資信託選びについて深堀りしますので、(下の図のように)ある程度のリスクを取ることで、定期預金や社債などを超える投資収益(リターン)を目指す個人投資家に対して有意義な情報になるでしょう。

STEP2: あなたの求めている投資スタイルは?

投資信託の場合
 投資信託とは、「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」です。つまり、プロの資産運用会社にお金を委託をして彼らが運用する投資ファンドを選ぶことで、多くの企業に分散投資を行うことができます。

【投資信託には主に2種類ある】
パッシブ運用 vs アクテイブ運用

 ①パッシブ運用は、市場平均指数に連動した運用成果を目指す商品を指します。「インデックスファンド」と呼ばれることもあります。野菜に例えると、スーパーマーケットに売られている野菜ような効率重視の運用方法になります。そのESGバージョンである、パッシブ型ESGインデックスファンドは、市場全体と連動した投資収益を得ることを目的に数百の企業に投資し、ESG評価の高い企業の比率を上げて投資するという、比較的リスクの低い投資信託の形態です。しかし、市場の平均を軸に運用されるので、ESG配慮が低い企業も投資対象に含まれることがあります。

 ②アクティブ運用は、運用担当者がその信託ごとに定められた特定の運用方針に基づき、能動的に銘柄の入れ替えや売買を繰り返す投資信託商品です。こちらも野菜に例えると、オーガニック野菜を選ぶように、こだわり重視の運用方法といえます。アクティブ型ESGファンドでは、運用のプロがより明確な基準に基づいて企業の詳細な調査の上でESG評価の高い企業のみを投資対象とする手法です。

 ファンドマネージャーが個別銘柄の徹底したリサーチを行うため、投資先企業の数は少ないという特徴があります。ただし、パッシブ型インデックスファンドに比べて運用にかける労力が高いことやファンドの組入銘柄数が比較的少ないことから、運用コスト・リスクは若干高くなります。健康関連企業、低炭素企業、環境技術など、特定のESGテーマに焦点を当てたアクティブファンドが多数存在します。

 自分が求める投資スタイルを決めてから、実際のファンド探しに進むのが最適な順番と考えられます。

STEP3: ESGファンドの販売窓口を探してみよう

ネット証券・大手証券会社・銀行・運用会社直接?

 個々の投資信託の販売窓口は異なるため、幅広く検索することをおすすめします。主に以下の4つの窓口があり、それぞれ次のメリット・デメリットがあります。

① ネット証券: 最もコスパや取り扱うファンド数は良い反面、自己判断で確かめる必要があります。ネット証券大手3社のESGファンドを検索してみると、SBI証券は18本、松井証券は14本、楽天証券は24本、見つかりました。

②証券会社: 野村・大和などの大手証券会社 。最も手数料が高価ですが、専門家と直接話し合うことができます。

③銀行: 取り扱い商品は限られていますが、既に口座を持つ銀行の場合は便利です。ただし、購入金額による販売手数料がかかるケースが多いため、コスパ的に低めです。

④運用会社直接: 運用会社から直接投信を購入することもできます。ブティック投信にこだわりたい人向けです。

 選べる窓口が割と多い中、自分の好みに合わせて、求める投資スタイルや商品が揃っていて、使いやすい窓口から調べて見ましょう。

STEP4: 関心のあるESGテーマを考える

 自分のスタイルにあって、関心のあるテーマに注目してみてください。例えば、このようなESGテーマを考えてみることで、同じテーマを軸に構成された投資信託の特徴を比較することが可能です。

• E(低炭素・サーキュラーエコノミー・EV など)
• S(ダイバーシティ・女性活躍など)
• G(企業理念・役員報酬のESG連動など)

 アクティブファンドの場合は、投資信託の評価機関であるモーニングスターが毎年行っている『ファンド オブ ザイヤー』のESG型部門優秀ファンドを参考にしてみてはいかがでしょうか?(参考記事:モーニングスター:ファンドオブザイヤー2020。ESG型部門優秀ファンド発表 |)

 パッシブファンドでは、大口機関投資家のGPIFが投資しているインデックス型ファンドの中で、女性活躍に貢献する企業への投資比率を高めるインデックスや低炭素企業への投資比率を高めたファンドも存在します。その選び方を参考にすることもできます。

STEP5: 共感できる運用会社・商品を選ぶ

 最後に、どの投資スタイルの商品を選ぶ場合でも、誰が、どのように、どのレベルまで、ESG要素を投資判断のプロセスに取り入れているかが重要なポイントです。投資商品の説明資料、目論見書や運用会社のESGに対する思考や考え方に納得できるかを基準にしてみるのも当然ながら重要です。

「グリーンウォッシング」に注意!

 金融分野におけるグリーンウォッシングとは、実際には環境に配慮されていない投資ファンドや金融商品に対し、あたかもそうであるかのように金融機関や資産運用会社が提示することをいいます。ファンド名やラベルのみの「ESG」に騙されないようにするには、次のポイントに注目してみてください。

  • 商品のESG情報が曖昧ではないかを確認する
  • 投資先ポートフォリオの中身(組入上位銘柄)をしっかり確かめる
  • 運用会社・ファンドのESG情報開示の透明性と質を確認する
  • 自身の倫理観・ESG価値観にあっているか照らし合わせる

 詳しくは、ThinkESGの特別ブログ『「ESGウォッシュ」に騙されないための4つのポイント』で解説しているので、ご参照ください。  

最後の最後に!

 ESG投資実践に役立つ第三者の情報源を参考にするのが大事です。商品の販売は様々な信託銀行・証券会社が行っているので、情報の範囲が豊富で、それぞれの商品を上手く比べることができる第三者サイトを活用するのがオススメです。ESG評価・監視団体の出している情報や、ThinkESGなど、多様なESG情報を元に投資ヒントをピックアップしてみてはいかがでしょうか?例えば、企業レーティング大手のS&Pグローバルは、世界の時価総額の95%を占める約9,200社のESGスコアを公開しています。S&Pグローバルのウェブページから、対象企業のESGスコアを検索できるので、活用してみるのも有効です。(参考記事:レーティング大手S&Pが9000社のESGスコアを公開 |)

編集後記

 ESGファンド選びの5STEP、いかがだったでしょうか? 3月から毎月開催してきたESGSCHOOLも、ついに今回で最終回を迎えました。参加者アンケートでは、「ESG投資について体系的に解説されておりわかりやすかったです。」「ESG投資を実践する上での情報の読み方や、実際の収益性について理解が深まりました。」という感想をいただきました。近日、ThinkESGプレミアム会員限定で、過去4回分のESGSCHOOLのアーカイブ動画を好きな時間にいつでもご視聴いただける「ESGライブラリー」を公開いたします。ThinkESGでは、引き続き皆様のESGリテラシー向上に貢献するべく、質の高いコンテンツ提供に努めて参りますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

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