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2026年9月27日、EUで「グリーン・トランジションのための消費者エンパワメント指令(EmpCo)」の適用が始まった。カーボンクレジットの購入で埋め合わせただけの製品を「カーボンニュートラル」とうたう広告は、EUの新ルールで禁止された。世界で相次ぐグリーンウォッシュ訴訟と、企業を見極める評価軸から、投資家が押さえるべき情報開示の論点を読み解く。

グリーンウォッシュが問題視される背景

「環境にやさしい」「カーボンニュートラル」。こうした言葉は、いまや多くの商品の広告やパッケージに並ぶ。だが、その中身は本当に確かなのか。実態以上に環境に配慮しているように見せる表示や宣伝は、「グリーンウォッシュ」と呼ばれる。

欧州委員会が2020年に行った調査では、EU域内で調べた環境表示のうち53.3%が曖昧、誤解を招く、または根拠がないとされ、40%は裏付けがなかった。環境ラベルも少なくとも230種類にのぼり、消費者の混乱と不信を招いているという。企業が自主的に行う環境表示に共通のルールがないことがグリーンウォッシュを生み、本当に環境に取り組む企業がかえって不利になる。これがEUの問題意識だ。*1

中でも問題視されたのが、カーボンクレジットを買って自社の排出を埋め合わせる「オフセット」を根拠にした「ニュートラル」の表示である。実際には別の場所で影響をある程度埋め合わせようとしているだけなのに、製品を使うこと自体に環境への影響がないかのように誤解させかねないからだ。EUは数年前から消費者の権利を守るためにグリーンウオッシュ規制を議論して来ており、2024年2月、消費者向けの環境表示のルールを強める指令(EU)2024/825(Empowering Consumers Directive(グリーン移行のための消費者エンパワーメント指令))を採択した。これが、通称EmpCoである。*2

「カーボンニュートラル」の表示が禁止されたのか?

EmpCoは、EUの不公正取引方法指令(UCPD)と消費者権利指令を改正する形で、企業が消費者向けに行う環境表示に新しい禁止事項を加えた。中でも注目されるのが、温室効果ガス排出のオフセットを根拠に、製品が環境に中立・削減・プラスの影響を持つと主張することの禁止だ。欧州委員会の2026年9月付のQ&A(法的拘束力はない)は、「気候中立」「CO2ニュートラル認証」「カーボンポジティブ」などを例に挙げる。熱帯雨林の植林プロジェクトに投資しているからと、特定の便を「気候中立」とうたう航空会社の広告が典型例だという。製品のバリューチェーンの外で行うオフセットは、その内側での実際の削減と同じではない、というのが禁止の理由だ。

規制はオフセットにとどまらない。「カーボンニュートラル」「気候中立」のような一般的な環境表示そのものも、認められた優れた環境性能を示せなければ使えなくなった。認証制度や公的機関に基づかない独自のサステナビリティラベルも禁止された。「2050年までにネットゼロ」のような将来の目標を掲げる場合は、測定可能で期限のある目標を含む詳細で現実的な実施計画と、独立した第三者専門家による定期的な検証が求められる。この点は個別の事案ごとに判断される。

ただし、「カーボンニュートラル」と名乗ること自体が全面的に禁止されたわけではない。

製品単位の禁止は、企業単位のオフセットに基づく主張には適用されない(UCPDのほかの規定の対象にはなる)。言える表示と言えない表示を、Q&Aの説明をもとに整理すると次のようになる。

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