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役員報酬にESG指標を反映させる企業が増えてきているのをご存知だろうか。

デロイトトーマツグループから出た「役員報酬サーベイ(2021年度版)」によれば、非上場企業72社を含む1042社の6.4%にあたる、47社が指標を取り入れている。

また、信託協会が22年3月に公表した「ESG版伊藤レポート」では、日経225銘柄企業の約2割に当たる43社が、役員報酬制度に何らかのESG指標を設定している。この流れは、英国や米国の5割以上の企業が取り入れている現状に加え、2021年6月に公表された改訂版コーポレートガバナンス・コードで上場企業の取締役会に対し「サステナビリティを巡る課題への取り組み」が求められたことも影響している。

報酬とESG指標の紐付け方

どのように紐付けているかでいえば、会社のパーパス(存在意義)とミッションの設定にESG戦略を紐付けていることを前提に、適切なマテリアリティ(優先課題)と具体的なKPI(重要業績評価指標)が設定され、その達成度合いに役員報酬を紐付ける格好だ。

役員報酬制度にESG指標を落とし込むための4つのプロセス

デロイトによれば、落とし込む際には4つのプロセスが重要だと言う。

まず (1) ESG指標を設定し、(2) ESG指標の報酬への反映方法を検討する。次に (3) ESG目標の達成度と役員報酬をどのような手続きにより決定するかを整理し、(4) (1)〜(3)での検討結果を開示するというステップだ。

制度設計のポイント

また、制度設計については、日経ESGの分析を参照すると、3つのポイントがあると言う。

第1に、役員報酬のどの部分にESG目標の達成度を反映させるか。

第2に、役員報酬全体の何%をESG指標と連動させるか。

第3に、評価の基準となるESG指標を何にするのか。

1つめのポイント、ESG指標を役員報酬のどの部分に反映させるかについては、TOPIX100企業を対象にした日本総研の調べでは、業績目標の達成に応じて変動する「中長期業績連動報酬」と「短期業績連動報酬」がそれぞれ23社と18社、額が確定している「固定報酬」が1社あったと報告している。

2つめのポイント、何%を連動させるかについては、情報開示している企業において、おおむね業績連動報酬の5~10%をESG指標と連動させている。業績連動部分が報酬の4~5割として、役員報酬全体の2~5%程度をESG指標に連動させるケースが多いとのことだ。

3つのめのポイント、評価の基準となるESG指標は、財務指標に比べて達成度合いが確認しづらいことを理由に、わかりやすいCO₂排出量、女性管理職比率、ESG評価機関のスコアなどの外部評価、従業員エンゲージメントスコアなどを採用している企業が多い。

企業のESG指標導入例と評価機関のESGスコア

大手評価機関S&P Globalによる各社のESGへの取り組みを評価するESGスコアを参考にすると、役員報酬制度にESG指標を導入している銘柄は業界平均のESGガバナンススコアと比べて評価が高いケースが多いことが読み取れる。

いくつかの企業の導入事例とそれぞれのESGスコアを紹介しよう。

味の素

ESGガバナンススコア72(業界平均スコア20)の味の素は、中期業績連動型株式報酬制度において、ESG目標と従業員エンゲージメントを設定している。ESGの評価ウェイトは5%だ。

積水ハウス

ESGガバナンススコア70(業界平均スコア28)の積水ハウスは、

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