科学に基づく目標設定イニシアチブ(SBTi)※は7日、「ビジネス・アンビション・フォー・1.5C」キャンペーンに参加してから24ヶ月以内に温室効果ガス排出量をネットゼロ(実質ゼロ)に削減する目標を設定しなかったとして、235社の誓約を同イニシアチブの公式ホームページから「削除」した。(*1)
※SBTi は、企業と金融機関が最新の気候科学に沿って野心的な温室効果ガス排出削減目標を設定できるようにする国際的な団体。 2030 年までに世界の排出量を半減させ、2050 年までに排出量正味ゼロを達成することに沿って、企業の気候変動対策を加速させることに焦点を当てているイニシアチブ。
235社の内、ヴェスタス、ユニリーバ、プロクター・アンド・ギャンブルなどのグローバル企業や、日本を代表するサントリー、積水ハウス、セコム、リコー、ミズノなどの日本企業13社が、SBTiの「ビジネス・アンビション・フォー・1.5C」キャンペーンが定めたネットゼロ目標の設定期限に間に合わなかったか、SBTiの基準を使用しなかったことで、SBTiは各社の誓約の認証状況を確認できる公式ウェブサイトの「ダッシュボード」で、それら企業の目標が「削除された」と記載した。(*2)
ネットゼロ目標の実行が困難
SBTiのイニシアチブは、パリ協定の目標である地球温暖化を1.5℃未満に抑制する科学的シナリオに沿った野心的な気候変動目標の設定に民間セクターの関心を高める役割を果たしたが、24ヶ月以内に第三者による目標の検証を受けられなかったためにコミットメントを削除された企業の割合が加盟企業の2割以上に上ってしまったことから、SBTiの最新の報告書の分析で企業がコミットメントの実行を困難にしたことが示唆される。しかしSBTiは、分析レポートが発表された3月7日の時点で、ネットゼロ目標が削除された235社のうち6割が、中間目標(2025又は2030年目標)は検証済みであると指摘している。
1.5°Cに向けたビジネスアンビションの見直し、得られた教訓
「ビジネス・アンビション・フォー・1.5C」のメンバー200社以上を対象とした調査報告書(*3)では、多くの企業が目標設定を断念した理由が記載されている。
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