気候変動

ブルームバーグNEF(BNEF)によると、世界の大手銀行が2025年に取りまとめたエネルギー供給向けの投融資は、化石燃料向け1米ドルに対して低炭素エネルギー向けが0.97米ドルだった。低炭素エネルギー向けの資金供給額は過去5年で最高の1兆1,500億米ドル(約181兆円)に伸びたが、化石燃料向けも増えた。世界的な気候変動目標達成に必要とされる「エネルギー供給バンキング比率(ESBR)」(低炭素エネルギーと化石燃料向けの資金供給比率)の平均4対1にはなお遠い。

エネルギー供給バンキング比率(ESBR)の推移

「エネルギー供給バンキング比率」(英:Energy Supply Banking Ratio・ESBR)とは?*1

金融機関が各年において「化石燃料関連」に対して行った投融資・有価証券引受の総額に対し、「低炭素エネルギー関連」へどれだけの規模のファイナンスを行ったかの比率を示す。

BNEFの最新の報告書「Energy Supply Banking Ratios(エネルギー供給バンキング比率)」によると、世界の銀行は2025年、化石燃料向けのファイナンス1米ドルにつき、低炭素エネルギー供給向けのファイナンスを0.97米ドルを提供した。*2

比率は2024年の0.95対1から緩やかに改善した。しかし、気候目標と整合させるには、エネルギー供給バンキング比率(ESBR)を2020年代に平均で低炭素:化石燃料を4対1にする必要があるとされ、現状の比率はこれを大きく下回ったままである。

2025年のエネルギー供給向けファイナンスの総額は2兆3,000億米ドル(約362兆円)で、2024年から15%増えた。BNEFは、数兆米ドル(数百兆円)規模のファイナンスを4つの形態で集計している。リコース債務(融資や社債など)、株式の公開発行、プロジェクトファイナンス、タックス・エクイティ(主に米国で、再生可能エネルギーの税額控除を得るための出資)である。

低炭素エネルギーへのシフトは進んだものの、化石燃料への投資は総額でなお増えた。石油・ガス向けのファイナンスが高水準となり、化石燃料向けの金額は1兆1,900億米ドル(約187兆円)に押し上げられた。一方、低炭素向けは化石燃料向けを上回るペースで伸び、前年比16%増の1兆1,500億米ドル(約181兆円)と過去5年で最高に達した。送電網向けのファイナンスが伸びを後押しした。

北米の大手銀行でESBR比率の開示が広がる

北米の大手銀行のファイナンスは、全体として化石燃料寄りに移っている。それでも2026年には、ESBRを採用する北米の大手銀行が増えた。ノバスコシア銀行とカナダロイヤル銀行が、JPモルガンとシティに続いて、それぞれ独自の比率を開示した。カナダ・インペリアル商業銀行も2026年に算定手法を公表したが、比率はまだ公表していない。

BNEFは、開示の拡大が、比率をめぐる一段の行動に向けた第一歩になる可能性があるとみる。その一方で、比率を開示していない銀行の多くも、前年比での改善を続けている。

最大手銀行は化石燃料へ回帰、MUFGもESBR低下

エネルギー供給向けファイナンスの金額で見た最大手の銀行は、依然として化石燃料の比重が大きい。

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