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ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授:炭素価格は1トン当たり100ドルが妥当だ

ノーベル経済学賞受賞者のジョセフ・スティグリッツ氏とニコラス・スターン男爵は今週、論文を発表し、米国政府に対し、パリ協定の目標達成に向けて米国を軌道上に乗せるために「炭素の社会的費用(social cost of carbon)」を1トンあたり100米ドルに設定するよう呼びかけた。

これは、オバマ大統領の下で設定された2018年のドル換算で60ドルの水準を大きく上回っている。トランプ政権は、二酸化炭素の社会的費用を担当する省庁間作業部会を解散し、推定値を8ドルに引き下げた。

二酸化炭素の社会的コストを定義する計算により、規制当局は、化石燃料に関連する環境被害を考慮して連邦政府の費用便益分析を調整することができ、燃料タンクを満タンにしたり、ガスを燃やして発電するために支払われる市場価格には反映されない、潜在的に莫大な経済的影響を取り込むことができる。二酸化炭素(CO2)の排出量に価格付けし、費用負担を求めるカーボンプライシングの一種で、連邦政府が内部的に適応する。

このアプローチにより、オバマ元大統領はエネルギー使用による汚染を考慮した数十種類の規制を進めることができた。トランプ政権のチームは、オバマ時代の政策を覆すために炭素の社会的コストを事実上撤廃し、多くの資源経済学者から批判を受けた。

バイデン政権は「炭素の社会的費用」についての中間報告書を近日中に発表すると報じられている。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのグランサム気候変動・環境研究所のスターン教授とスティグリッツ氏の論文は、炭素の社会的コストに対する新しいアプローチがなければ、米国は二酸化炭素排出の経済的影響を大幅に過小評価し、2050年までにカーボンニュートラル経済に向けて国を導くバイデン大統領の努力を妨げると警告している。

この論文は、2017年に世界銀行が支援した炭素価格に関するハイレベル委員会を拡張したものである。スティグリッツとスターンは現在、温室効果ガスの価格設定のためのアプローチを最適に見直すことで、二酸化炭素排出量を制限する政策の経済的効果を正しく評価することができると推奨している。

世界的経済学者たちのスティグリッツとスターン教授は次のようにバイデン新政権への提言を明確にする。

「バイデン政権は、アメリカ人や世界の他の国々との約束を果たすために必要な行動の規模と緊急性を促進するために、炭素汚染に十分に高い価格をつけなければならない。地球の未来はそれにかかっている。」

2021年2月15日、NICHOLAS STERNJOSEPH E. STIGLITZ, Getting the Social Cost of Carbon Right

日本政府は、米国、EU、英国、中国における炭素価格制度の積極的導入という新たな現実に対処し、国際社会と足並みをそろえるような炭素価格の導入に向け本格的な制度設計が期待される。二酸化炭素排出量への格付けを通じて明確なシグナルを発しすることで、日本企業が脱炭素化に遅れを取らないようにしなければならない。もし日本が国内企業に対して低い炭素価格を設定した場合、日本からの輸出品は国境関税に直面する可能性があり、生産における炭素排出源単位の高い日本の製造業者に不利益を与えることになるだろう。


参照リンク:

https://www.project-syndicate.org/commentary/biden-administration-climate-change-higher-carbon-price-by-nicholas-stern-and-joseph-e-stiglitz-2021-02

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