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気候変動の王が誕生

昨年、故エリザベス女王は珍しくリハーサルなしの率直な発言で、国連が気候変動に対して行動を起こせないことに多くの人々が募らせているフラストレーションを明らかにした。女王は、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)に不満を漏らす様子をビデオに収め、「口先だけで、何もしないのには本当に腹が立つ」と述べたのだ。

このメッセージは、エリザベス女王から王位を継承したチャールズ新国王にも伝わっていることは違いない。エリザベス女王が残した気候変動に関するレガシーは、女王が何をしたか、何を言ったかよりも、女王が子や孫に何を伝えてきたかが重要と考えられる。

COP26での女王のスピーチ

グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)で、女王は気候変動対策の重要性を語るスピーチで多くの人々を驚かせた。女王として非常に珍しく、パーソナルなメッセージが込められていたからだ。

「私の夫が、私たちの地球を守るよう人々に呼びかけた主導的な役割が、長男チャールズとその長男ウィリアムの仕事を通じて生き続けていることは、私にとって大きな誇りです。私は彼らをこれ以上ないほど誇りに思います。」

女王の気候変動への取り組み

女王の気候変動への取り組みは、2000年代初頭に始まったという。国連での演説、英連邦記念日のメッセージ、毎年恒例のクリスマス・スピーチの中で、女王は自らの影響力を使って行動を起こすよう働きかけ始めたのだ。2004年、彼女は当時のトニー・ブレア首相に、ジョージ・W・ブッシュ大統領とともに気候変動にもっと積極的に取り組むよう促したが、ブレア首相はその願いを完全に受け入れなかったとも言われている。

2005年には、Sunday Observer紙に「英国で最も著名な気候変動の専門家の一人」と報じられた。2010年には、ニューヨークの国連本部で演説を行い、国連の2大課題の1つに気候変動を挙げたこともあり、イギリスの保守党の気候変動対策に関する基本スタンスにも影響を与えてきたとも言われている。

気候変動の王の誕生

エリザベス女王が人類に残した最大の遺産は、熱心な環境保護主義者となった未来の王を育て、それを息子たちに受け継がせたことだろう。チャールズ新英国王は、気候変動がメインストリームに問題視されるずっと以前から、気候変動、持続可能性、有機農業、生物多様性、自然の神聖さなどを提唱してきた。また、チャールズ国王は、財務会計における環境リスクの統合を提唱した先駆者でもある。

2003年、チャールズ国王は、標準的な会計アプローチでは、なぜ財務面でも環境面でもコストに見合った価値を提供できないのかという疑問から、「サステナビリティ会計(A4S)」イニシアチブを立ち上げた。

A4Sは、年次会合を通じて、財務・会計のコミュニティと協力し、3つの中核的な目標を掲げている。

1⃣ 持続可能で強靭なビジネスモデルを採用するよう、財務リーダーを鼓舞すること。

2⃣ 環境・社会問題がもたらす機会やリスクを反映した統合的なアプローチを可能にするため、財務上の意思決定を変革する。

3⃣ グローバルな財務・会計コミュニティ全体で、行動を拡大する。

最近では、チャールズ国王は、民間セクターが持続可能な未来への移行を加速できるよう、世界的に連携した取り組みを構築することを使命とする「持続可能な市場イニシアティブ(SMI)」を2020年に立ち上げた。チャールズ国王の主導の下、2021年にそのSMIがマグナ・カルタに着想を得たサステナブルな社会・経済の再構築を促す「地球憲章(Terra Carta)」を発表した。これは、2030年までに自然環境の再生を目指し、世界経済の持続可能性を高めるために、民間企業に向けた約100の行動指針をまとめた。現在、400社以上のCEOがTerra Cartaに賛同を表明しており、ビジネス界に対するチャールズ国王の影響を物語る。

新国王は、新たな地位での影響力を利用して、気候変動に関する公約と行動の間のギャップを縮めることができる。これは、地球の平均気温の上昇を1.5度未満に抑えるというパリ協定の目標を維持するために極めて重要なことである。数十年に渡って環境保全活動に取り組んできたチャールズ国王は今、四半期収益にこだわるCEO、そして、化石燃料時代の延命に固執する他の君主に対抗する強力な新勢力となる態勢を整えている。天から授かった使命として、彼は短期的な政治や短期的な利益追求の苛烈な影響から距離を置くことができる。

彼は、気候変動の影響を受けているイギリス連邦に散らばる何億もの人々を結集し、そのために尽くすことができれば、若い世代との関係性を維持するのに苦労している王室に新たな意味を与える可能性がある。

気候変動対策に取り組む王室

チャールズ国王は、国王の役目を果たすためにサステナビリティへの取り組みに注力する時間が今後限られる可能性もあるが、今まで以上に王室のGX推進が強まるだろう。その理由は、ミレニアル世代の皇太子たちの存在だ。

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