欧州議会は11月22日、企業の取締役会におけるジェンダーバランスに関する新しいEU法を正式に採択した。2026年までに、非業務執行取締役の40%または全取締役の33%を女性にすることが義務づけられる。
この新法は、EU全域の大手上場企業の取締役会において、ジェンダーバランスが確立され、取締役職の任命が透明で、候補者が客観的に評価されることを目的としている。
欧州男女共同参画研究所(EIGE)の最近の調査によると、EUの大学卒業者の約60%が女性である一方、企業の取締役会では女性の割合が低く、取締役全体の31.5%、取締役会議長の8%にとどまっている。
また、新ルールでは、取締役会の男女比率と目標達成のための施策について、毎年報告することが義務づけられる予定だ。
欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長、ヴィエラ・ユロヴァ副委員長およびヘレナ・ダッリ委員は、EU議会での同法の採択を受けて発表した声明で、次のように述べている。
「これは待ちに待った瞬間であり、男女平等の突破口として祝福されるべき瞬間である」
「欧州委員会が提案して以来10年を経て、上場企業の取締役会のガラスの天井を破るEUの法律ができることになる」
「一流の仕事に就く資格を持つ女性はたくさんおり、我々の新しい欧州法で、彼女たちがその仕事を得る真のチャンスを得られるようにする」
欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長、ヴィエラ・ユロヴァ副委員長およびヘレナ・ダッリ委員
次のステップ
この指令は官報に掲載された後、20日で発効し、加盟国は2年以内にその規定を国内法に反映させなければならない。加盟国は、2026年6月30日までに、企業が社外取締役を40%、全取締役を33%とする目標を達成するよう努めなければならない。
日本企業への影響
日本のコーポレートガバナンス・コードでは「取締役会は、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである」と明記されている中、欧州の取締役会のジェンダー・バランス法の採択を受け、日本企業の女性取締役比率がさらに注目されるだろう。
日本企業での取締役会における女性取締役の比率は東証1部上場企業上位300社を対象に実施した調査で15.3%にとどまり、目標とする2030年に、女性取締役比率30%超えを目指すところだが、プライム市場でさえも欧州に一回り遅れているのが現状だ。取締役会の機能発揮にはジェンダーダイバーシティや多様性確保は必須条件となりつつある中、企業のESG配慮を図るための重要な指標として採用されるだろう。
参考リンク
欧州議会
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/statement_22_7074
ESG Today
日経xwoman
https://woman.nikkei.com/atcl/column/21/072500094/080200004/