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COP27の成果: 損失・損害の基金設立へ

国連気候変動会議COP27は11月20日に気候災害で大きな打撃を受けた脆弱な国々に損失と損害のコストを支払うため資金を提供するという画期的な合意に達した。また、気候変動の悪影響に特に脆弱な途上国への技術支援を促進するため、サンチアゴネットワークを運用するための制度的取り決めについて合意が実現された。その内容と今後の影響について説明する。

損失・損害基金への険しい道のり

これまで気候変動の影響を受ける国々に対し先進国などは炭素削減や気温上昇への適応を支援するための資金を提供してきた一方、援助を受ける当該国は壊滅的な被害を受けた地域の損害コストを賄うための資金提供を求めてきた。バヌアツは気候変動に関する国連会議で損失と損害の問題を初めて提起し、30年間「損失と損害」基金は国際社会で求められてきた。今回、アフリカ、アジア、ラテンアメリカの134カ国と小島嶼国、そして洪水の甚大な被害に見舞われたパキスタンを筆頭に、この基金を押し通すために協働してきた。(損失と損害の基本的な概念はこちら)

一方で欧州や米国を中心とする先進国は基金設立に対し強い抵抗を示してきた。根本には歴史的に高い温室効果ガス排出の金銭的な責任を負わされることに対する恐怖があると考えられる。しかし、今回COP27の最終報告である「シャルム・エル・シェイク実施計画」によると、気候変動の悪影響に伴う損失と損害の重大性、範囲、頻度があらゆる地域で増大しているという事実があり、先進国の基金への支持を後押ししたと見られる。

損失・損害基金の特徴

気候変動における「損失と損害」には、洪水、干ばつ、暴風雨などの災害による人々や家屋、インフラへの被害だけでなく、海面上昇などの緩やかな影響による強制移住や、文化遺産やコミュニティの生計手段の損失も含まれるとされている。

基金の資金源については大きな注目が集められている。気候変動の影響を受ける国のために集約される資金は富裕国からの出資ではなく、国際的な金融機関など様々な資金源から資金を調達する見込みである。開発銀行や、化石燃料や航空会社への課税といった革新的な資金源など、はるかに幅広い資金源から資金を集めるため、他の国連が支援する気候変動基金とは異なるものになる。欧州連合(EU)加盟国や米国を含む従来の援助国政府は、基金を支援する条件としてこの点を強く主張した。

また、各国政府は来年のCOP28において、資金調整と基金運用の両方について提言を行う「移行委員会」を設置することでも合意した。移行委員会の最初の会合は、2023年3月末までに開催される予定である。

損失・損害基金設立への課題

今回COP27では基金の管理者や資金提供基準のロードマップが設定されたものの、基金の実現は数年後になると見られる。また、中国をはじめとする新興国の反発を受け、具体的に誰が負担するかという難題は先送りにされた。その他にも以下の課題があると指摘されている。
・支払い基準は何であるのか?
・資金の具体的な調達先はどこなのか?
・資金の調達額はどれくらいになるのか?
・提供される予定の資金は損失損害を支払うに足る額であるのか?  
などガバナンスを含め多くの課題があると見られる。

基金設立合意の意義

各メディアは本合意がCOP2015のパリ協定締結以来、最も重要な気候変動に対する前進であると報道している。

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