オーストラリア選挙:労働党が勝利、緑の党が支持拡大
5月21日に行われたオーストラリアの選挙では、有権者が長年にわたる石炭推進の保守連合政府を見捨て、野党・労働党が9年ぶりに政権をとった。有権者は気候変動への対策強化を支持する候補者を大量に支持したことから、「グリーンスライド(緑の地滑り)」とも呼ばれている。 気候変動への取り組みを強化すると約束した労働党は、全体で最も多くの議席を獲得したが、単独で過半数を形成できるかどうかは不明である。彼らのリーダーであアンソニー・アルバネーゼは、5月23日、首相に就任した。しかし、大きな驚きは、より野心的な気候変動対策 ...
北海4カ国:洋上風力を10倍拡大、ヨーロッパのグリーン水素を開拓
北海のドイツ、デンマーク、オランダ、ベルギーの首脳がデンマークで会合し、洋上風力発電とグリーン水素に関する協力協定に調印した。2030年までに少なくとも65GW、2050年までに150GWを目標とする。北海の4カ国は、共同宣言の中で、「ヨーロッパのグリーン電力プラント」になることを表明している。今回の合意では、同地域の洋上風力発電容量を10倍に増やすことを目標としており、民間からの投資総額は1350億ユーロ(約18兆円以上)に達すると予想されている。 北海は、安定した風と浅い海域、そして電力の大消費地であ ...
「金融と気候変動」大手金融機関30社の気候変動評価、日本勢は出遅れ
近年、金融と気候変動は、密接にかかわっており、金融機関の動きが注目されている。 そんな中、2022年3月、FinanceMapが世界の大手金融機関30社を対象に、トップレベルの気候変動対策と目標、実際の環境関連融資や活動などを比較し、エビデンスに基づく総合的な評価「金融と気候変動」を公開した。対象となった大手金融機関30社の中には、日本の三井住友ファイナンシャルグループ、みずほファイナンシャルグループ、三菱UFJファイナンシャルグループが入っている。 この評価から、気候危機に対処するために必要な具体的な短 ...
Jパワーに気候変動株主提案、欧州機関投資家が圧力
世界最大のヘッジファンドマン・グループ、欧州最大の資産運用会社アムンディ、HSBCアセット・マネジメントの3社は、5月11日に、電源開発株式会社(以下、Jパワー)に対し、脱炭素戦略の強化を求める3つの株主提案を共同で提出したことを発表した。 本提案は、豪NGOのAustralasian Centre for Corporate Responsibility (ACCR)との共同提案で、日本最大の石炭火力発電所オペレーターであるJパワーに対し、信頼できる排出削減目標の設定とその達成に向けた計画の開示を要請す ...
EU、G7首脳、ロシアの石油禁輸計画を発表
2022年2月から現在まで悪化の一途をたどるロシアのウクライナ侵攻。 米、独、日など主要7カ国(G7)の首脳は8日、ウクライナのゼレンスキー大統領を招き、同国への支援やロシアへの追加経済制裁についてオンラインで協議し、共同声明はG7としてロシア産石油の輸入禁止に取り組むと盛った。岸田文雄首相は「G7の結束が何よりも重要なときだ」と述べ、禁輸措置をとると表明した。 各国や企業がロシアに対する政策を実施し始めている中、欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会は5月4日水曜日、ウラジーミル・プーチン大統領にウ ...
Google、Meta、フィンテック大手: 炭素除去技術促進を図る新ファンド設立
近年、カーボンニュートラルに向けて、炭素除去の技術開発や、カーボンクレジットの活用が進められている。 そんな中、米国の大手テック企業グーグルの親会社Alphabet、Meta(旧フェイスブック)とEコマース大手のShopify、Stripe、と戦略コンサル大手のMcKinseyが1千億円規模の新たな炭素除去ファンド「Frontier」を設立した。 この炭素除去ファンドFrontier は、技術や商業の専門家からなるチームが購入者の代理として、高い可能性を持つ炭素除去技術を開発する企業からの炭素除去証書(ク ...
SBTI、ネットゼロ・ファイナンス基準策定を開始
多くの企業がネットゼロ(温室効果ガス実質ゼロ)に向けての取り組みを展開しているが、中でも金融機関の動きというのはESG投資にも大きな影響を及ぼしているため、注目を浴びている。 そこで今回、SBTI〔Science Based Targets initiative〕(企業が気候科学に沿った排出削減目標を設定できるようにする世界的な組織)が、2021年10月に発足したSBTiの「企業ネットゼロ基準」に基づき、金融機関のネットゼロ目標に関する新しいファウンデーションペーパーを発表した。 同ペーパーは、銀行、資産 ...
マスターカード、全従業員の報酬をESG目標に連動させる
世界的な決済テクノロジー企業であるマスターカードは、全従業員のボーナス支給額の計算に会社のESG目標の達成度を含めることを開始すると、CEOのミーバッハ氏が新たに発表した。 この新しい取り組みは、マスターカードが昨年導入した上級管理職向けの新しい報酬モデルの延長線上にあるもので、同社のESG優先分野であるカーボンニュートラル、金融包摂、男女賃金格差の達成度に応じたインセンティブ報酬を設定するものである。 この新しいモデルは、今年から従業員のボーナス給与に適用され、引き続き、排出量、財務的包括性、男女間賃金 ...
BNEF:石油・ガス大手の脱炭素トランジションスコア、欧州メジャーが圧倒
ブルームバーグNEF(BNEF)が主要な石油・ガス会社41社を対象に、脱炭素社会への移行への備えを評価した「石油・ガス・トランジションスコア」を発表した。オランダのシェル、フランスのトタルエナジーズ、スペインのレプソルは、気候変動リスクの管理および低炭素社会に向けたビジネスモデルの形成においてトップ3にランクイン。この採点では、より環境に優しい技術の開発、移行リスクへの対応、低炭素ビジネスへの投資レベルなど、幅広い尺度が採用された。 本報告書では、欧州の石油・ガス大手が引き続き高い評価を得ており、上位10 ...
IPCC第6次報告書:カーボンゼロ変革に5つの解決策
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書の最新版では、65カ国278人の科学者が、世界の平均気温の上昇を1.5度未満に抑えるというパリ協定の目標を達成するために、世界は今後3年間で温室効果ガスの排出量をピークアウトさせる必要があると指摘している。 気候変動の物理学とその影響に焦点を当てたこれまでの2つの報告書に続き、第3作業部会のこの報告書は、主に緩和、つまり温室効果ガス(GHG)排出の削減と大気中の二酸化炭素(CO2)の除去に焦点を当てたものである。2014年のIPCC第5次評価 ...