日本の電力会社に投資家が「NO」!株主総会の決議案はいかに
2023年5月9日、電源開発株式会社(Jパワー)に対して気候変動リスク管理に関する株主決議案が提出され、同社の次期社長の選任議案への反対票を投じることが判明した。Jパワーは全国95カ所で発電所を保有する日本の大手発電会社で、発電した電力を電力会社などに販売(卸売り)している。発電設備出力はおよそ1,810万kWにのぼるが、その約半分は火力発電である。*1 Jパワーと脱炭素戦略についてエンゲージメント(建設的な目的をもった対話)してきた大手機関投資家3社である欧州最大の資産運用会社であるアムンディ、HSBC ...
投資家グループ、グリーンウオッシュガイドを公開
アジア太平洋地域では、複数の規制当局が金融業界でのグリーンウォッシュを深刻な問題として指摘し、その監視が加速している。 そんな中、英国に本部を置く環境法慈善団体ClientEarthと、アジアの機関投資家の気候変動への取り組みを促進することを目的とした業界団体である気候変動に関するアジア投資家グループ(AIGCC)は、グリーンウオッシュに取り組むためのガイドを発表した。 金融業界でのグリーンウオッシュ問題 金融業界では、グリーンウォッシュとは一般に、金融商品、投資戦略、または企業が環境または気候変動対応に ...
2023年クライメート・テックのスタートアップ企業12選
2023年4月、温室効果ガスネット・ゼロの目標達成に向け、技術やイノベーションの課題が残る分野や領域で躍進している画期的な12社の企業がブルームバーグNEF (BNEF)によって表彰された。今年の受賞企業には、新しいタイプの持続可能なタンパク質の開発、銅の新しい採掘ルートの発見、製鉄によるCO2排出の排除、グリーン水素をより安価に製造する技術の開発など、多くの企業が含まれる。ここでは2023年に賞を受賞した12社を紹介する。*1 スタートアップ企業12選が描く未来 今日は実現不可能と思われることでも、明日 ...
EV車の販売台数、今年35%急増する見込み
電気自動車(EV)の世界販売台数は、今年も過去最高を更新し、自動車市場全体に占める割合が5分の1近くまで拡大し、石油を中心とするエネルギー分野にも影響を与える自動車産業の大きな変革を導くことになる。 2023年中に35%増 IEAが毎年発表している「グローバルEVアウトルック」の新版によると、2022年には世界で1000万台以上の電気自動車が販売され、今年はさらに35%増の1400万台に達すると予想されている。この爆発的な成長は、自動車市場全体に占めるEVのシェアが、2020年の約4%から2022年には1 ...
2023年最新IPCC報告書における10の発見
各国の科学者や政府の代表を始め、国際機関等から650名以上が出席する気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第58回総会が、2023年3月中旬にスイスのインターラーケンで開催された。IPCCが今回発表した気候変動の物理科学に関する第6次統合報告書(AR6)から明かされた10の発見について説明する。*1 1) 人類が引き起こした1.1℃の地球温暖化は、近年の歴史上稀にみる異常な気候の変化をさらに加速させている すでに、地球の気温は産業革命以来1.1℃上昇し、世界のあらゆる地域で海面上昇、異常気象の増加、海氷 ...
サステイナブル認証マークが森林破壊を推進している?
疑惑付き製品がグリーンラベルを取得新たな調査により、サステナビリティ産業が環境破壊や気候変動、人権侵害の有無に関わらず、サステイナブル認証を付与していることが明らかになった。 国際調査報道連合(International Consortium of Investigative Journalists:ICIJ)と39の協力メディアによって実施された調査は、環境監査人や環境認証会社が、森林破壊や紛争や侵害地域での伐採に関係のある製品を、頻繁にサステイナブル認証している事実を突き止めた。そして、厳格ではない監 ...
大手資産運用会社の責任投資ランキング
近年の世界的なや物価高騰やインフレなどは数十年来の高水準に急上昇し、世界経済の見通しは不安定な相場に見舞われている。 そんな中、膨大な資産を運用する資産運用会社は、短期的なボラティリティ(変動性)に捕らわれず、中長期の視点を持ちながら、世界的な社会・環境問題に対して重要な役割を果たすことができる。パリ協定、SDGs、国連のビジネスと人権指導原則、生物多様性などの国際枠組みは、財務リスクとリターンを超えて、投資の現実世界における影響に対する行動を取り入れたスチュワードシップアプローチを必要とし、これまで以上 ...
女性の活躍と業績向上は比例するのか
女性の役員比率が高いほど業績向上につながる ジェンダー・ダイバーシティとは社内の男女従業員数が比較的均等であることや、同じ役職であれば性別を問わず同等の賃金が保証されるなど、組織においてすべての性別が公平に扱われることを指す。過去1年間、全世界の大企業2,800社以上の管理職のジェンダー・ダイバーシティを評価した「Women on Boards Progress Report」*1では、取締役会の女性の割合が前年比1.9%増加し、2021年の22.6%から2022年には24.5%まで上昇していることが明ら ...
世界的EV需要拡大で問われる鉱物採掘の持続可能性
中・欧・米でのEV電池製造の拡大 リチウムイオン電池は、電気自動車(EV) の急速な普及を支える重要な技術であり、EVの環境・社会的負荷の主要な原因となっている。リチウムイオン電池を生産する大規模な工場は、ギガファクトリーと呼ばれ、特に中国、ヨーロッパ、米国で急速に設立され、生産能力は急増している。 生産が急成長している背景には、中国、欧州、米国における電気自動車の需要増が大きく影響しており、今後20年間で、EVがリチウムイオン電池の需要の約90%を占めると推定されている。 EVの導入は、補助金、減税、排 ...
グリーンウォッシュに騙されないための3つのチェックポイント
気候変動に関心が集まり環境への意識が高まるにつれて企業にもサスティナビリティや環境配慮が求められている。近年問題として取り上げられているグリーンウォッシュをご存知だろうか。 グリーンウォッシュとは、汚れた壁を素早く簡単に、清潔で明るく、新しいものに見せる特殊な塗料に掛けて、評判を守るために、不快な事実や不利な事実を意図的に隠そうとする意味の「ホワイトウォッシュ」という言葉と環境に配慮しエコな「グリーン」なイメージを組み合わせた造語である。 本ブログではグリーンウォッシュについて、最近の事例を挙げながら、グ ...