国連専門家グループ、ネットゼロ・ウォッシュへの対策を提言
国連事務総長直下に設立された専門家グループは、企業やその他非国家主体が発表するネットゼロ誓約について、明確な基準を策定し、グリーンウォッシュを避けることを目的とした一連の勧告を報告書として発表した。 パリ協定の発効に伴い、多数の企業、国家、都市がネットゼロ誓約を掲げてきたが、現在ネットゼロは一つの変曲点を迎えている。ネットゼロ誓約を掲げたにも関わらず、具体的な行動が実行されない例。 ネットゼロ目標を過小評価したり、独自解釈を行ったりする例。肯定的な報道による自社利益獲得を目的に、達成する予定がないにも関わ ...
海運の脱炭素に向けて「Green Shipping Challenge」COP27にて発表
海運業界は全世界の二酸化炭素排出量の3 %を占め、その排出量は増加している。そのため、業界全体での二酸化炭素排出量の削減が求められている。今回、国連気候変動会議COP27において、アメリカとノルウェー政府が中心となり、海運業界全体として二酸化炭素排出量の削減に取り組むことを目的とする「Green Shipping Challenge」の発表が行われた。これは国家や企業など海運のバリューチェーンに携わる関係者らに対し、港湾と海上の両方において、二酸化炭素排出量を削減する具体的な施策を発表することを求めるもの ...
COP27開幕:重要な論点
国連気候変動会議COP27は、11月6日(日)にエジプトのシャルムエルシェイクで正式に開幕し、気候変動に関する国連枠組条約(UNFCCC)が採択されてから30年、2015年のCOP21でパリ協定が合意されてから7年の節目となった。 毎年開催される「締約国会議」または「COP」には、UNFCCC、京都議定書、またはパリ協定に署名した190以上の政府が集まり、今年のCOPは、2021年にスコットランドのグラスゴーでイギリスとイタリアが共同開催したCOP26に続くイベントとなる。 昨年のCOP26では、メタンの ...
次世代環境住宅「ZEH+」や「LCCM住宅」の普及に期待
公益財団法人 地球環境戦略研究機関 IGESが出した「1.5度ライフスタイル」レポートには、私たちの生活におけるカーボンフットプリントは、「食」「住居」「移動」「その他の消費財レジャー・サービス」のうち「住居」が最も割合が高いと示されている。 住居の中でも特に環境負荷が大きいのは「エネルギー消費」なのだが、ここに対応するさまざまな住宅が出てきているのをご存知だろうか? それは、省エネ性能の向上や太陽光パネルの設置などによって住居におけるCO2排出量を大きく減らしたり、マイナスにすることを可能にした「ZEH ...
インパクト投資、初めて1兆ドルを突破
グローバル・インパクト・インベスティング・ネットワーク(GIIN)の新しい報告書によると、世界のインパクト投資の運用資産は1兆1640億ドル(約170兆円)に達し、初めて1兆ドルの大台を突破したことを発表した。 2009年に設立されたGIINは、インパクト投資の規模と効果を高めることを目的とした非営利団体で、2万人以上の投資家やリーダーをメンバーとするネットワークだ。GIINは、新レポート「2022年:インパクト投資市場の規模を測る」において、3,000以上の資産所有者および運用会社からのデータを選別し、 ...
オーストラリア最大の炭田を抱える州、再エネ80 %目標を発表
オリンピックを契機とした野心的な再エネ目標の設定 クイーンズランド州労働党政府は、2032年に70%、2035年に80%の再生可能エネルギー目標を新たに掲げ、今後13年間で再生可能エネルギーへの公的・民間投資5.7兆円を誘致する計画を発表した。 同州のアナスタシア・パラスチュク州首相は水曜日、今後10年間におけるエネルギー・雇用計画の一部としてこの新しい目標を発表した。 この計画には、22GWの風力および太陽光発電、11.5GWの屋上太陽光発電、9GWの蓄電池(主に家庭用と業務用)、そして合計7GWの24 ...
日本における石炭アンモニア混焼戦略の経済性
日本の電力会社は二酸化炭素排出量を削減するため、既存の石炭火力発電所の改修によって石炭とアンモニアの混焼を目指している。しかし、BloombergNEF(BNEF)はアンモニア混焼が電力部門における二酸化炭素排出を削減する戦略として経済的でないと報告している。 脱炭素戦略としてのアンモニア混焼 日本は2050年までに二酸化炭素の排出量をネットゼロにするという長期目標を設定したことにより、電力部門の脱炭素化が急務となった。電力供給に占める石炭火力発電の割合は依然として30%と高く、2030年には19 %に削 ...
役員報酬にESG指標を取り入れる企業が急増中
役員報酬にESG指標を反映させる企業が増えてきているのをご存知だろうか。 デロイトトーマツグループから出た「役員報酬サーベイ(2021年度版)」によれば、非上場企業72社を含む1042社の6.4%にあたる、47社が指標を取り入れている。 また、信託協会が22年3月に公表した「ESG版伊藤レポート」では、日経225銘柄企業の約2割に当たる43社が、役員報酬制度に何らかのESG指標を設定している。この流れは、英国や米国の5割以上の企業が取り入れている現状に加え、2021年6月に公表された改訂版コーポレートガバ ...
バヌアツ「化石燃料拡散防止条約」制定を訴える
バヌアツ大統領のニケニケ・ヴロバラヴは9月23日の国連総会にて各国に対し、新規の化石燃料の採掘の停止と、石油・石炭・天然ガスから持続可能なエネルギー源への公正な移行を目的とした国際的な枠組みの制定を呼びかけ、初めて国際の場で本条約の制定を訴えた国家となった。 化石燃料拡散防止条約 石炭・石油・天然ガスに由来する二酸化炭素はここ10年間における二酸化炭素の総排出量の86%を占め、気候危機の主要な要因であることが明らかとなっている。一方、パリ協定など気候変動に対する国際的な条約は化石燃料産業に直接的な対処策を ...
生物多様性に特化した投資ファンド、相次ぎ設立
生物多様性の損失と世界経済への影響 現在、人間の生産活動によって生物多様性の損失が急速に進展しており、世界経済が生物資源に由来する生産に支えられていることから、この損失は人類の健康、生活水準、雇用などに深刻な影響がもたらすことがわかっている。 世界経済フォーラムは生物多様性の損失が今後10年における深刻なリスクの一つとして発表し、国連環境計画 (UNEP) はこの損失が世界経済に毎年生産高の10 %の損害を与えているとし、生物多様性を回復するためには2050年までに自然共生型社会の構築に向けて総計8.1兆 ...