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パタゴニアの決断:環境危機と闘うため、全株式を手放す

「地球が私たちの唯一の株主である」

パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードは環境危機と闘うために自身の所有するアパレル会社の全株式を手放すこととした。

ニューヨークタイムズ紙によるとパタゴニアの企業価値はおよそ4300億円にも上ると予想され、ビジネスに再投資されない年間の企業利益のすべてとなる約140億円の資金が生物多様性と自然環境の保全、気候変動問題に取り組む団体に供給される見込みである。

“Going purpose”

水曜日にパタゴニアの公式HPにてシュイナード氏から今回の決断について「資本主義の再考」というタイトルでメッセージが掲載された。

パタゴニアの価値観を維持しつつ、環境危機と闘うためには多くの資金を投入する方法を探す必要があると考えた。 そこで私たちは”Going public(株式公開に進む)”ではなく”Going purpose(目的に進む)”を選択した。

パタゴニア公式HPより

パタゴニアとサステナビリティ

シュイナード氏が1960年代よりカリフォルニアの大自然を冒険する先駆者として、自身と友人のために登山用品やアパレル用品を自作したところからパタゴニアは始まった。シュイナード氏はメッセージの中で自身がビジネスマンとなることは本望ではなかったと明かし、

アパレル業界に参入したことで自身のビジネスが地球環境に及ぼす影響を目の当たりにした。そのため、パタゴニアはビジネスのあり方を変える一手段であると認識し、2018年にパタゴニアの目的は「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」となった。

現在、パタゴニアは国際的な認証制度であるB corporationに認証されている。B corporationは米国の非営利団体 B labが設けた極めて高いESG評価基準を満たす企業に与えられるものであり、全世界で6000社のみがこの認定を受けている。パタゴニアはその認証を受ける一環として利益の1 %を米国の環境市民団体などに毎年寄付している。

パタゴニアは自社製品が環境に与える負荷に早くから着目し、2018年には製品原料の88 %をオーガニックコットンと再生ポリエステル由来のものとした。2025年には製品の100 %がこれらの原料を使用することを発表した。

パタゴニアはこうした努力を行なっているにも関わらず、環境危機に対応するためにはその取り組みが不十分であると実感し、環境危機と闘うためにはより多くの資金を投入する必要があるとし、会社の変革を目指した。

シュイナード氏はメッセージの中で株式譲渡に至った背景を以下のように表明した。

「私たちは環境問題を解決するために最善を尽くしてきたがその努力も限界があると感じている。環境危機への投資を増やしつつ自身の会社の価値を守り続ける新たな方法を探さなければならないと考えた。パタゴニアを売却し、資金を全額寄付することも検討したが、新オーナーによって会社の価値と社員の雇用を守り続けることが困難であると考えた。一方、株式を公開することも検討したが、株主から短期利益創出の圧力を受け、長期的な価値や責任が犠牲になると予想した。他に選択肢がないと考えた私たちは新たに選択肢を生み出す他ないと考えた。」

パタゴニアの新たな選択

今回の決断を受け、シュイナード氏の私有株式は気候変動に取り組む信託とNPOに譲渡され、余剰利益は全て配当金として地球環境を保護するために充てられるとした。

具体的には、

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