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4億人の雇用を生む「ネイチャー・ポジティブ」とは

近年、「ネイチャー・ポジティブ(Nature Positive)」という概念が注目されている。

「ネイチャー・ポジティブ」とは、自然を優先する、増やす、損失をプラスに転じさせるなどの意味を持つ。

世界経済フォーラムの試算によれば、世界の経済全体の44兆ドル相当分(約5,600兆円)が自然に依存していると言われている。つまり、商品やサービスをつくり出すための資源を供給する生態系サービスを守ることは、事業を守ることに繋がることだと言える。

そこで世界では、組織や事業を継続するために生物多様性に取り組まなければならないとして、気候危機へのリスク対策やBCP(事業継続計画)にも取り入れられるようになった。

しかし近年、開発や気候危機による破壊が急速に進んでしまっていることから、自然を保全するだけでは足りず回復していかなければならないとして、欧州から「グリーン・リカバリー」の概念が広まった。これにより企業の生物多様性の意識は格段に高まった。

2019年、欧州は生物多様性をはじめクリーンエネルギーやサーキュラーエコノミーなどへの投資を通じて持続可能な社会を目指す「欧州グリーンディール」を発表。2020年6月には「EUタクソノミー」で環境的に持続可能な経済活動を見分けるための具体的な条件を明示し、これに合致する取り組みに投資を集中させている。

また、自然資本に関する科学的な目標設定方法を定めた「Science-Based Targets for Nature(SBTN)」も開発され、2020年に初期ガイダンスを発表、2025年までに生物多様性、海洋、土地、水に関して取り組むとしている。

さらに2021年6月には、企業が自然への依存度や影響を把握し開示する枠組み「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」も立ち上がり、取締役会や代表取締役(CEO)はアニュアルレポートで自然に関する情報を開示することが求められた。現在フレームワークも公開され、取り組みが進められている。

このような流れから2021年10月、国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が行われ、前述の「ネイチャー・ポジティブ」の概念が共有された。

COP15で「遅くとも2030年までに生物多様性の損失を逆転させ回復させる」とし、ネイチャー・ポジティブの考え方を取り入れた「昆明宣言」が発表された:

「自然との共生」という 2050 年ビジョンの完全な実現に向けて、遅くとも 2030 年までに生物多様性の現在の損失を回復させ、生物多様性が回復軌道に乗ることを確実にするために、条約に沿った必要な実施手段の提供、及びモニタリング、報告、レビューのための適切なメカニズムを含む、効果的なポスト2020 生物多様性枠組の策定、採択、実施を確実にする

昆明宣言 「 エコロジカル文明:地球のすべての命に共有される未来をつくる」とのテーマの 国連生物多様性会議 2020(第一部)ハイレベルセグメントによる宣言

ネイチャー・ポジティブの具体的な取り組みには、自然資本への依存度と影響が大きい世界のトップ100社に共同で働きかける投資家グループの取り組み「Nature Action 100」(NA100)の立ち上げ他、生物多様性への負荷(フットプリント)を算出する「生物多様性フットプリント」の開発、生物多様性・自然資本関係の投融資や金融商品の開発などがある。

このネイチャー・ポジティブの取り組みは、日本でも進められている。

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