株式会社三井住友銀行(以下、SMBC)と日本IBMは、炭素会計プラットフォームプロバイダーである米スタートアップのPersefoni社(以下、パーセフォニ)との提携を発表した。3社の新たなパートナーシップは、日本企業がサステナビリティに関する規制や投資家のコンプライアンス要件を満たすために、企業が自らグローバルなカーボンフットプリントを算定・分析・管理できるデジタル対応サービスの提供を狙う。
近年の脱炭素化に向けた企業の取組みへの市場の期待感の高まりに応じるため、3社はパートナーシップを組むことにした。最近では東京証券取引所は一部の上場企業に対し、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に準拠した情報の開示を求めているが、この開示には膨大なデータ収集と複雑な計算式が必要とされている。
2020年に発売されたパーセフォニのSaaS(サービスとしてのソフトウェア)プラットフォームは、企業や機関投資家によるカーボンフットプリントの測定、分析、計画、予測、報告の一連の計算を可能にし、AIを活用してそれぞれの組織に応じたサステナビリティパフォーマンススコアをユーザーに提供し、財務状況と同程度に厳格に自社の企業活動によるGHG排出量の可視化を可能にする。また同社は、銀行やアセットマネージャーなどが投融資された金額に対しての業界基準に沿ったカーボンフットプリントの計算も支援する。
今回の提携により、パーセフォニは独自のソフトウェアを日本市場に提供することになった。IBMは、そのパーセフォニのソフトウェアへのデータ入力、およびカーボンフットプリント計算のアウトプットの自動化を支援するツールを提供する。このソリューションは、カーボンフットプリントの計算に必要な大量のデータ収集・処理をサポートする、統合データ・アプリケーション・インフラをベースに構築されている。
IBMとSMBCは昨今企業の気候変動情報開示を支援するために、気候変動リスクと事業機会の分析サービスの提供を開始した。両者は今回のパーセフォニとの協業により、日本の顧客に包括的な脱炭素ソリューションを提供する狙いがある。カーボンフットプリントのモニタリングに加え、気候変動リスク・機会分析機能を備えた脱炭素ソリューションをお客様に提供することが可能になる。
また、SMBCは、日本の金融機関で初めて、自行のGHG排出量可視化のためにパーセフォニのプラットフォームを長期導入することを決定したことを表明している。パーセフォニのプラットフォームのように、今後も企業のカーボンマネジメント対応に資するサービスやソリューション提供のニーズは高まるだろう。
参考記事
SMBC
https://www.smbc.co.jp/news/j602639_01.html
パーセフォニhttps://persefoni.com/ja/newsroom/SUMITOMO-MITSUI-BANKING-CORPORATION-PERSEFONI-IBM
ESG today