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シンガポール、企業に対し気候変動に関連する報告義務を導入

気候変動の影響がますます顕著になる中、気候変動対策への取り組みに対する世界的な要請は飛躍的に高まり、緊急性を帯びたものとなっている。特に、国際的にサステナビリティの重要性が高まるにつれて、ESG情報開示の規制強化の流れが加速している。

シンガポールでは、2024年2月28日、上場企業および非上場の大企業に対し、気候変動に関連する報告義務の導入が発表された。これにより、対象企業には、早ければ2025年から国際サステナビリティ基準審議会(ISSB:International Sustainability Standard Board※)の基準に沿った開示を開始する義務が課された。*1

※ISSBとは、2021年に国際財務報告基準(IFRS財団:International Financial Reporting Standards Foundation)によって設立された、同機関のサステナビリティ開示基準の開発検討を行う審議会。

シンガポールにおける気候変動に関連する報告とは

気候変動に関連する報告は、上場発行体の財務報告を補完するものである。財政状態計算書と包括利益計算書は、現在のスナップショットと過去1年間の説明を提供し、環境・社会・ガバナンス(ESG)要素のサステナビリティ報告書は、将来のリターンのために管理されたリスクと機会を示している。財務報告書とサステナビリティ報告書を組み合わせることで、発行体の財務見通しと経営の質をより適切に評価することができる。*2

気候変動に関連する報告義務の導入は、チー・ホン・タット第二財務大臣がシンガポール国会で発表したものである。その後、シンガポールの事業報告、会計、企業サービス、市場規制機関である会計企業規制庁(ACRA)およびシンガポール取引所規制庁(SGX RegCo)が、新たな報告義務要件の詳細について追加の発表を行った。

ACRAとSGX RegCoが、シンガポールにおける企業の持続可能性報告を推進するためのロードマップについて助言するために設置した委員会である、持続可能性報告諮問委員会(SRAC)の勧告に従い、新たな気候変動報告義務は、段階的なアプローチで実施され、まず2025年に上場企業から開始され、次いで2027年に売上高10億ドル以上、資産5億ドル以上の大企業、非上場企業と定義される

各グループの具体的な義務も時間をかけて段階的に導入される。上場企業は初年度にスコープ1と2の排出量、2026年にスコープ3の報告を義務付けられ、報告開始から2年後にスコープ1と2の温室効果ガス排出量について第三者保証を得ることが求められる。非上場の大企業も同様のスケジュールに従うが、スコープ3の報告開始は2029年以降となる。

スコープ 説明
1 燃料の燃焼や、製品の製造などを通じて企業・組織が「直接排出」する温室効果ガス
2 他社から供給された電気・熱・蒸気を使うことで、間接的に排出される温室効果ガス
3 原材料仕入れや販売後の製品使用・破棄などによって排出される温室効果ガス。※消費者が利用する際の排出量やモノをつくるために必要な従業員の通勤や出張を通じた排出量を含む。
(出典:資源エネルギー庁、知っておきたいサステナビリティの基礎用語~サプライチェーンの排出量のものさし「スコープ1・2・3」とは

チー氏の声明によると、政府は気候変動報告義務を中小企業に拡大するかどうかまだ決定しておらず、ACRAは上場企業や大企業の経験を検討した上で決定する予定だとしている。

報告書に含めるべきもの

サステナビリティ・レポートには、

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