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国連:既存の努力では30年までに1%未満の温室効果ガス削減しか達成できない

国連の気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)は、「温室効果ガス排出削減の国別貢献目標(NDC)初期統合報告書」を発表した。これによると、今世紀末までに世界の気温上昇を2℃(理想的には1.5℃)に抑えるというパリ協定の目標を達成するためには、各国が努力を倍加し、より強力で野心的な国別の貢献目標計画を2021年に提出する必要があるとのことだ。

報告書によると、参加国の大半が個々の排出量削減の野心度(目標の高さ)を高めたものの、その影響を総合すると、2030年までに2010年比で1%未満の削減しか達成できないことがわかった。一方、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、1.5℃の気温目標を達成するためには全世界のCO2排出量を2030年までに約45%低くすべきだと指摘している。

本報告書は、パリ協定の締約国が今年11月にグラスゴーで開催される「COP26」に向けて、NDCの進捗状況を測定するために作成されたものだ。2020年12月31日までに提出された目標を対象としており、世界の温室効果ガス排出量の約30%に相当する75の締約国が、新規または更新されたNDCを提出している。日本は2030年までに温暖化ガスを2013年比で26%削減するという不十分な国別貢献目標を提出している。

UNFCCCのパトリシア・エスピノサ事務局長は、COP26の前に第二次報告書を発表する予定であることを示し、すべての国、特にまだ提出していない主要排出国に対して、可能な限り早く提出し、その情報を最新の報告書に盛り込むよう呼びかけた。

「2021年は、世界的な気候危機に立ち向かうための重要な年だ。世界の気温上昇を1.5℃に抑えるためには、2030年までに世界のCO2排出量を2010年比で45%削減しなければならないことは科学的に明らかになっている。UNFCCCが発表した初期統合報告書は、私たちの地球にとっての警鐘なのだ。各国政府は、気候変動を1.5度に抑え、パリ協定の目標を達成するために必要な野心のレベルに到底達していない。主要な排出国は、11月にグラスゴーで開催されるCOP26までに、2030年に向けたより野心的な温暖化ガス排出削減目標を提出しなければならない。今がその時なのだ。2050年までに排出量をゼロにすることを約束する世界的な取り組みは、政府、企業、投資家、都市、地域、市民社会の間で拡大している。環境に優しく、よりクリーンにコロナ禍からの復興を実現する必要がある。人々と地球が切実に必要としている変革の10年をスタートさせるためには、長期的なコミットメントに即した行動が必要なのである。」

国連事務総長のアントニオ・グテーレス

UNFCCCのパトリシア・エスピノサ事務局長は、下記のように述べている。

「今回の報告書は、現在の気候変動に対する野心のレベルが、パリ協定を達成する道筋をつけるには非常に遠いことを示している。このことはなぜCOP26が、グリーンで健康的で豊かな世界に向けて軌道に乗る瞬間でなければならないかを明確に示している。また、コロナ禍が多くの国にとって2020年の提出完了に向けて大きな課題となっている。再建するにしても、以前の状態に戻すわけにはいかない。NDCはこの現実を反映したものでなければならず、主要排出国、特にG20諸国が先導しなければならないのである。統合報告書は『NDCのスナップショット』であって、全体像ではないと言えるのである。残りのすべての締約国はパリ協定で約束したことを果たし、できるだけ早くNDCを提出すべきだ。さらに、NDCを新たに提出した国や更新した国であっても、より強固なNDCを作成するためにさらなる分野を調査することを勧める。また、野心を高めるためには、パリ協定の重要な要素である、途上国の気候変動対策への支援を大幅に増やすことが必要だ。」

世界第5位のCO2排出国の日本は、2050年のカーボンニュートラル目標達成に向けて、中間目標の引き上げを世界に発信し、野心的な行動計画を実行することが急務だ。本日、日本中の若者は「#世界気候アクション0319」を通じて、より野心的な気候アクションを呼びかけている。よりサステナブルで公正・公平な社会を構築するのには、大胆な変革が必要だ。今後の10年が勝負で、脱炭素化を加速するあらゆる手段を同時並行で進めていかなければならない。脱炭素社会の実現に必要とされるソリューションに積極的に投資するESG投資もその一つの手段だ。


参考リンク

UNFCCC:https://unfccc.int/news/greater-climate-ambition-urged-as-initial-ndc-synthesis-report-is-published

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