脱炭素バリューチェーン、30 年までに 5~10 兆ドルの投資機会
気候変動対策への設備投資額は過去最高を記録しているが、今世紀半ばまでに世界の温室効果ガス排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にするために必要な額にはまだ満たない。脱炭素分野への投資の拡大が期待される中、シンガポールの政府系投資ファンドGICは、さまざまな脱炭素技術から期待される投資価値の増分を分析する新たなフレームワークを開発した。 GICの調査によると、気候変動ソリューションのサプライチェーンは、2030年までに5兆~11兆ドル(約740〜1600兆円)の追加投資価値をもたらす可能性があり、2050年までにネ ...
2024年に直面する緊迫の課題
世界経済フォーラムは1月10日に「グローバル・リスク報告書2024」を発表した。*1 報告書は急速な技術革新、経済の不確実性、気候変動、紛争などを背景に、今後10年間に世界のあらゆる地域の人々が直面する、これらの最も差し迫った課題を示している。この調査結果は、学術界、企業、政府、国際社会、市民社会から約1500人の世界的な専門家の見識を集めたフォーラムの「グローバル・リスク認識調査(Global Risks Perception Survey)」に基づいている。*2 重要な発見 報告書は、世界が「気候変動 ...
米国選挙2024:トランプ氏はバイデン氏の再エネ・EV政策を台無しにする?
フィナンシャル・タイムズ紙が最近報じた記事によると、トランプ陣営の幹部は、再生可能エネルギーと電気自動車を支援するバイデン大統領の画期的なインフレ抑制法(IRA法)の条項を撤回する計画に取り組んでいるという。 IRA法はこれまで、クリーンエネルギーや気候変動対策に投資を促す史上最大規模の政策となる3690億ドル(約54兆円)の支出の主要部分を廃止しようとする共和党主導の試みを乗り越えてきた。しかし、バイデン政権の同法案は、ドナルド・トランプの再選という新たな脅威に直面している。 最近の世論調査では、202 ...
ネットゼロ達成の道: 手頃さ、信頼性、産業競争力
大手コンサルティングファームのマッキンゼーは、ネットゼロへの移行を成功させるためには、排出量削減と共に、手頃な価格、信頼性、産業競争力の4つの目標を同時に達成する必要があると新たな報告書で提言した。*1 国や企業はCO2排出量をネットゼロにし、その他の温室効果ガスの排出量を削減することを約束しているが、その進捗は遅く、期限はあまりにも長期化している。国連の気候変動会議COP28で国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局が発表した報告書によると、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5℃未満に抑える ...
2024年の主要ESGテーマ
2024年は、世界的な紛争や国内災害が続き、社会問題解決のための大きな幸運とイノベーションをもたらす辰年への期待に暗雲が立ち込める中、さらなる不安と災難で幕を開けた。この騒動の中、目の肥えた投資家は、より広い市場動向に目を向け、変化し続ける社会的期待やESG関連のメガトレンドに対応できる企業リーダーを見極めるだろう。本記事では、2024年のESG動向を形作るであろう4つの主要なESGトレンドをまとめた。 ESGのG:企業の政治的責任 2024年は世界政治にとって極めて重要な年となる。2024年は、日本、米 ...
2024年新NISA対象のESG投資商品4選
2024年からスタートする新NISA制度。購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度であることから、使わない手はないです。年末年始に資産運用を考えるみなさまのために、新NISA対象のESG投資商品の事例に迫ります。 新NISAとは? 新NISA制度では非課税投資期間が無期限となり、投資可能額・年間投資上限額の拡大や、つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能になるなど、利便性が大幅に向上します。新NISAでは長期の積立・分散投資に適した投資信託に投資する「つみたて投資枠」の年間投資上限額が従来の3倍の ...
気候変動への適応は失敗している?「2023年適応ギャップ報告書」が警告
ドバイで開かれていた第28回国連気候変動会議COP28が13日、全会一致の合意をもって閉会した。気温上昇における化石燃料排出の役割にくぎを刺し、将来的な石炭・石油・ガスの削減について概要を示したもので、国連は、この合意は歴史的なもので、2015年のパリ協定以来の大きな前進だとしている。*1 しかし、UNEP(国連環境計画)は「2023年適応ギャップ報告書」で、世界中で気候変動のリスクと影響が加速している中、開発途上国が気候変動の影響に適応するために必要とする適応資金は大幅に不足していると警告した。 気候変 ...
COP28、石油・ガス・石炭からの段階的な脱却で歴史的合意
2週間にわたる激しい議論と交渉の末、約200カ国の代表が12月13日、国連気候変動会議COP28の最終日に画期的な合意に達し、気候変動の悪影響を緩和するために石油、ガス、石炭の使用を段階的に削減することを誓約した。 アラブ首長国連邦(UAE)のCOP28議長であり、国営石油会社のCEOであるスルタン・アル・ジャベール氏が主宰するこの合意は、12月13日にドバイで最終決定され、国際社会が化石燃料への依存から脱却する決意で一致していることを、世界中の政策立案者や投資家に強いメッセージとして発信した。 サミット ...
【COP28連載⑦】118カ国が2030年までに再エネを3倍に拡大
米国、欧州加盟国、日本を含む118カ国が、2030年までに再生可能エネルギーの容量を世界全体で3倍に拡大し、エネルギー効率の改善率を毎年倍増することを誓約した。この合意は、世界の首脳らがドバイで開催されている第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)の3日目に集まった際に発表された。 署名国はまた、再生可能エネルギーとエネルギー効率に関する野心的な国家政策を採択し、この野心を「国が決定する貢献(NDC)」*に反映させること、都市や州政府と協力すること、主要なツールとエネルギー効率改善に焦点を当 ...
COP28開幕:重要な争点と成功指標
本日11月30日からドバイで開催される国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)は、初めて石油輸出国機構(OPEC)加盟国であるアラブ首長国連邦が主催国となる。この会議の議長は石油会社のCEOが務めることになっており、グリーンウォッシュや利益相反が懸念されている。ドバイでは、パリ協定の下での世界的な気候変動対策に関する最初の世界的なストックテイクが行われる予定であり、パリ協定に沿ってこれまで温室効果ガス排出量を十分に削減してこなかった世界の失敗を直視し、軌道修正のための行動を加速させる機会となる ...