企業の温暖化対策の8割は科学的根拠がない
企業に対して科学的知見に整合した温暖化対策を促すSBTiイニシアチブが、グローバル企業の温室効果ガス削減目標の大多数が科学的知見と整合性がないことを示す研究結果を発表した。 報告書の調査では、温室効果ガス削減目標を設定しているG20主要国の4,200社以上のうち、科学的知見と整合する目標を設定している企業は、わずか20%であることが判明した。 また、G7の国々でみると、2999社のうち761社(25%)、G13(G7以外のG20諸国)は1216社のうち76社(6%)の企業だけがこの科学的知見に基づく温室効 ...
農産物の収穫量が半減するリスク、気候変動の影響で
ストックホルム環境研究所(SEI)は農産物の世界貿易による気候変動リスクに関する最新の調査報告書を発表した。同報告書によると、農産物貿易を通じてどの国が国境を越えた気候変動リスクにさらされているか、また、どの国が重要なリスク源となっているかを明らかにした。 SEIは、トウモロコシ、コメ、小麦、大豆、サトウキビ、コーヒーの6つの農産品への影響を調査した。麦以外の農産物はいずれも減少する見込みである。 気候変動による農産物への影響 長期的(2070年〜2099年)に予測される農産物の収穫量の変動は以下の通り ...
2050年までに気候変動移民が二億人へ
近年、世界中で海面上昇や干ばつ、日本でも台風や豪雨などの自然災害が多発するなど、気候変動による被害が報告されている。このように気候変動によって住む場所を離れざるを得なくなってしまった「気候移民」と呼ばれる人々が出現している。9月13日に公開された世界銀行の「気候移民」に関する最新報告書では、2050年までに6つの地域で気候移民が2億人を超える可能性があると明らかにした。 世界銀行の最新のグラウンドスウェル報告書 世界銀行は最新のグラウンドスウェル報告書で、早急に気候変動の対策を取らなければ、海面上昇や水 ...
AM-Oneがネットゼロ達成に向けた運用資産を30兆円に設定
昨今、金融機関や機関投資家による温室効果ガス(以下GHG)削減に向けた積極的な取り組みが注目されている。欧米のESG投資家が先行する中、最近では日本を始めアジア勢の方針転換も見られるようになってきた。その第一人者はアジア最大の資産運用会社であるアセットマネジメントOne株式会社(以下AM-One)。AM-Oneは、2030年までにGHG排出量の実質ゼロに向けて運用する資産を全体の半分超えの30兆円とする野心的な目標を設定した。 AM-Oneは、「投資顧問事業」と「投資信託事業」の双方の事業領域における運用 ...
サステナブル投資の7つの原則
ドイツ銀行の資産運用部門DWSグループと同社のサステナブル投資の元責任者との間で起きた論争は、ESG投資商品のグリーンウォッシュに対する懸念の高まりとともに、業界の注目を集めている。 DWSグループのサステナブル投資の元責任者であるデジレ・フィクスラー氏は、DWSが一部の投資商品についてサステナブル投資基準を誇張していたと主張した。その結果、ドイツの金融監督機関であるドイツ連邦金融監督庁(BaFin)は、DWSのマーケティング活動について調査を開始した。また、米国では、証券取引委員会(SEC)と米司法省が ...
「カーボンニュートラルLNG」、本当に可能なのか?
1. はじめに 2020年10月、第203回臨時国会の所信表明演説において、菅義偉内閣総理大臣は「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言した。 そんな中、温室効果ガスの最大の排出源であるエネルギー分野の脱炭素化が急務だ。政府は発電時に排出量を出さない再生可能エネルギーを「最優先」とする方針だが、安定供給の課題が残るため、再エネの次に排出量が少ないとされる天然ガスを燃料とするガス火力発電の役割が注目されている。 ...
ハーバード大学:化石燃料投資から撤退、グリーン投資を拡大
9月9日、ハーバード大学は化石燃料への投資を中止する方針を明らかにした。化石燃料投資から撤退する代わりにその巨額の420億ドル(約4兆6000億円)の寄付基金を使ってグリーン経済への投資を拡大し、汚染産業から離れる投資家の波に加わる。 ハーバード大学では過去10年間にわたり、化石燃料関連の株の売却を求める学生やOBOGの声に対抗してきたが、2018年から就任したローレンス・バカウ学長をはじめとする新しいリーダーのもとで、方向転換が進んだ。 ハーバード大学は、気候変動について以下のように述べている。 “ ...
世界のすべての樹木の30%が絶滅危機に瀕している?
ここ数年、大量の森林伐採や、地球温暖化による干ばつの問題から、森林保全が重要とされている。そこで世界の樹種保全評価『グローバルツリーアセスメント(GTA)』による最新調査で、世界のすべての樹木(約6万種)の中現在、樹種の30%が絶滅の危機に瀕しており、少なくとも 142 種の樹種が絶滅したと記録されているという。 出典:BGCI「グローバル概要」 樹種に対する主な脅威は、森林伐採やその他の生息地の喪失、木材やその他の製品の直接搾取、侵略的な害虫や病気の蔓延、さらに気候変動も明らかに ...
日本の年金基金 、ESG投資額を186%増加
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は8月20日に「2020年度ESG活動報告」を刊行した。GPIFは同報告書でこの一年でESG指数に基づく運用資産額を5.7兆円から10.6兆円、グリーンボンド等への投資額は0.4兆円から1.1兆円に増加したと発表し、ESG投資額を186%増加させたことになる。 GPIFはどのESG株式指数に投資しているのか? ESG指数に基づくパッシブ運用の運用資産額は合計で約10.6兆円まで拡大し、GPIFは主に7本のESG株式指数に投資している。 国内株ESG FTSE Bl ...
ESGファンドの7割、気候変動対応が不十分
ここ数年、ESGや気候変動をテーマにした金融商品が大きく成長しており、提供されるESGファンドの運用資産額は2020年には総額1.7兆ドル(約186兆円)に到達したと言う。資金流入が増中、ESGや気候変動のキーワードを用いれた金融商品の品質、一貫性、透明性が問われている。 イギリスのシンクタンクInfluenceMapは最新の調査で、ESGや気候変動に関連するキーワードを用いて販売されている723本の株式ファンドのパリ協定との整合性を評価した。本調査では、下記2つの気候変動基準に基づいて投資ファンドを評価 ...