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2050年までに気候変動移民が二億人へ

近年、世界中で海面上昇や干ばつ、日本でも台風や豪雨などの自然災害が多発するなど、気候変動による被害が報告されている。このように気候変動によって住む場所を離れざるを得なくなってしまった「気候移民」と呼ばれる人々が出現している。9月13日に公開された世界銀行の「気候移民」に関する最新報告書では、2050年までに6つの地域で気候移民が2億人を超える可能性があると明らかにした。

世界銀行の最新のグラウンドスウェル報告書

 世界銀行は最新のグラウンドスウェル報告書で、早急に気候変動の対策を取らなければ、海面上昇や水不足、農産物の生産性低下などで、2050年までに6つの地域で気候移民が2億1600万人に達するとの報告を発表した。下記グラフを参考に、2050年までに、気候移民がサハラ以南のアフリカで8,600万人、北アフリカは1,900万人、東アジアと太平洋で4,900万人、南アジアは4,000万人、北アフリカで1,900万人、ラテンアメリカで1,700万人、東欧と中央アジアが500万人の気候移民が出現すると予測されている。 

出典:Groundswell: Acting on Internal Climate Migration

報告書によると、気候変動による環境変化に伴い避難が急増する「ホットスポット」が30年までに世界中で出現し、50年までに深刻化するという。同スポットでは、生計を立てることはもちろん日常生活を送ることが難しくなる。例えばメコン川下流域では、ベトナムのメコンデルタのように、人口密度の高い低地の沿岸地域において、海面上昇や高波などによる気候変動による移住のホットスポットが発生する可能性があるという。このように、米生産、養殖、漁業など、地域の主要な生計手段を脅かすものとされる。

また、気候変動による人口移動は、今後数十年間で拡大することが予測され、各国が世界の温室効果ガス排出量を削減できず、気候変動への影響に対する回復力を構築できない場合、今世紀後半まで加速し続けると予測されている。その一方、早期かつ協調的な行動ができた場合は、気候変動による人口移動の規模を80%削減できるとも報告している。

まとめ

 グラウンドスウェル報告書は、気候移動を遅らせ、2050年に移住する可能性のある数百万人に備える取り組みを支援するための政策提言を提供している。また、グローバルなソリューションから国内および地域のコミュニティまで含めた、温室効果ガス排出量の削減や気候変動に配慮したの開発計画などへの適応や移動を支援する対策が求められる。そして今後、より多くの気候移民を生み出さないために、気候変動、移住、開発における対策が早急に求められる。SDGs達成への貢献を掲げるグローバル企業にとって、サプライチェーンのグリーン化と地域社会への支援策は更に注目されるだろう。 


【参考文献】

 The World Bank ”Millions on the Move in Their Own Countries: The Human Face of Climate Change

Groundswell: Acting on Internal Climate Migration (worldbank.org)

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