ボランタリー・カーボンマーケット・インテグリティ・イニシアチブ(VCMI)は、2023年6月28日に企業によるカーボン・クレジットの活用促進に向けての新たな認証制度を発表した。
カーボン・クレジットとは、CO2など温室効果ガスの排出削減量を1トン当たりに区分けした証書を、主に企業間で売買可能にする仕組みのこと(*1)。航空業界など排出削減が難しい業界も、企業がカーボン・クレジットを購入し、償却することで、排出量削減に貢献していることをアピールすることが可能となる。
VCMIは、企業向けに透明性の高いカーボン・クレジットの活用に関するガイダンスを策定することで、民間の脱炭素戦略の一部として定着させる狙いがある(*2)。幅広い国際機関、政府、企業、NGO、市民社会から支持されており、今後急成長が見込まれるカーボン・クレジット市場において、今回発表されたルールブックはベストプラクティスの水準を定義する。
カーボン・クレジット市場は気候変動緩和のための資金調達のギャップを埋め、ネット・ゼロ(温室効果ガス排出実質ゼロ)への移行に向けた企業の取り組みを強化し、各国の持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援する可能性を秘めている。また、しっかりと設計された気候変動政策の導入を支援し、加速させることもできる。しかし、この可能性は、市場が高い完全性を持って運営されている場合にのみ実現できる。そこで、明確で整合性の高い制度を定め、カーボン・クレジット導入の検討を図っている企業の信頼を保障することが求められてきた。
プラチナ、ゴールド、シルバーの3階級の認証
今回発表された制度は、企業が気候変動対策を行う上でカーボン・クレジット市場の信頼を高めることが期待されている。同制度では、カーボンクレジットにおけるプラチナ、ゴールド、シルバーの3階級の認証を制定している。この階級は購入したクレジットがその年の企業の「残りの排出量」に占める割合を示しており、企業の炭素クレジット戦略の意欲を反映している。
最高ランクのプラチナは、企業が残りの排出量のすべてまたはそれ以上に相当するクレジットを購入したことを意味し、それぞれの階級は以下のように分かれている。
- プラチナ:残りの排出量の100%以上
- ゴールド:残りの排出量の60%以上100%未満
- シルバー:残りの排出量の20%以上60%未満 *3
さらに、それぞれの認証を取得するには、企業が実施しなければならない4つのステップが条件となる。
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