ベンチャーキャピタル(VC)ファンドが、「気候テック」への投資を拡大している。気候テックとは、脱炭素社会の実現に向けた新技術のソリューションを意味する。交通、不動産、農業などの分野にまたがり、再生可能エネルギー、電気自動車、セルラー農業、森林管理などに取り組むスタートアップが含まれている。
ピッチブックのデータによると、2021年の現在までに、世界の投資家がクローズした気候変動関連のファンドの数は、過去5年間に調達されたファンド数と同程度になっているという。大量の資金の流入により、VCファンドが支援する気候テック企業の上半期の調達資金は目覚ましく、世界全体で142億ドル(約1兆5千億円)以上の資金を調達しており、すでに2020年全体の9割近くを占めている。
2020年のPwC社のレポートによると、気候関連技術のスタートアップ企業に流れ込むVC資金は、2013年から2019年の間に4億ドル(約440億円)から160億ドル(約1兆7500億円)へと40倍に拡大したと言われており、気候テックのスタートアップ企業の総数は世界で1200社以上と推定されている。
気候変動に焦点を当てた投資家の新しい波は、地球温暖化によって悪化する異常気象による災害の驚異的な増加、2050年までにカーボンニュートラルを達成するためのネットゼロエミッション目標の国際的な推進、気候変動に対抗できる可能性のある新しい技術のブレークスルーなど、最近の傾向が合流したことによって後押しされている。
Twitter、Instagram、Uber、Stripe、Kickstarterなどへの初期投資で名を馳せた著名なVC投資家であるクリス・サッカは、新会社Lowercarbon Capital LLCを通じて、総額約8億ドル(約870億円)相当の4つの気候テックファンドを立ち上げると発表した。
これは、ビル・ゲイツが支援するブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズが、気候変動対策分野に投資する10億ドル(約1100億円)のファンドを立ち上げてからに続くものだ。
サッカは「大学の研究室からテクノロジーを取り出すのは、これまでになく簡単」だという。以前は悪夢のようだったが、彼らのおかげで「プロセスが標準化された」と述べている。
他の気候テック系VCと同様に、サッカは自分のスタートアップが、理想的には毎年数十億トン規模のCO2排出量を削減または大気中から除去することを望んでいる。
Lowercarbon Capitalがこれまでに行った50件の投資先(まだすべてが公開されていない)の多くは、以下のようなスタートアップを対象としている。
ここから先は「ThinkESG プレミアム」会員限定の
コンテンツです。
4つの特典が受けられる「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」の詳細についてはこちらをご覧ください。
「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」へはこちらからお申し込みいただけます。