現在、ロシアのウクライナ侵攻で戦闘は一層激しさを増しており、世間を騒がせている。そんな中、反戦運動も活発になってきており、中でも世界各国の年金基金がロシア関連株から撤退し始めている。デンマーク、米国のニューヨーク州、コロラド州、カナダの事例を取り上げてまとめる。
ーデンマークの「アカデミカ年金」ー
デンマークのジェントフテにあるアカデミカ年金は、ウクライナ侵攻を受け、ロシアの全保有株式を投資ポートフォリオからブラックリスト化したと声明で発表した。
1280億クローネ(195億ドル/約2.3兆円)の年金ファンドであるアカデミカは、ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部のロシアが支援する分離主義者の領土を承認した直後、ロシア国債と国営企業の株式への投資を一時的に停止した。
その後、木曜日にウクライナに侵攻したことで、アカデミカ年金はロシアを投資対象から除外した。
「この侵攻は、国際法および責任投資に関する当社の方針に対する明確かつ明白な違反である。したがって、ロシアを排除する以外に選択肢はない」
アカデミカ年金CEO、イェンス・ムンク・ホルスト氏
アカデミカ年金は、ロシア国債と、国が50%以上を所有するロシア企業への投資を売却する予定であるが、その額は合わせて4630万ドル(約53億円)、年金資産の0.2%に相当する。数字で検証した結果、「除外後も十分なリスク分散を維持できると確信している」とホルスト氏は述べた。
「責任ある投資は私たちの年金基金の理念の根幹であり、組織的に人権や国際的な法規制に違反する国家には単純に投資したくないのです」と、彼は述べた。
ーニューヨーク州議会議員の要求ー
民主党の州議会議員は2月24日、ウクライナに侵攻したロシアを罰するため、ニューヨーク州が同国との経済関係を断絶することを目的とした法案を提案した。
ニューヨーク州上院議員イライジャ・ライクリン・メルニック氏の提案は、ロシアとビジネスを行っている企業への州契約の締結を阻止するものであった。同時に、ニューヨーク州会計監査官トム・ディナポリの事務所は、ロシアと取引のある企業から同州の年金基金を切り離す権限を与えられることになる。ライクリン・メルニック氏は今回の法案について以下のようにのべた。
「ロシアのいわれのない不法なウクライナ侵攻には、可能な限り強い対応が必要だ。ニューヨーク州は、北朝鮮やイランで事業を行う企業への投資や支援を行っていない。プーチン大統領の無謀な行動により、ロシアはこれらのならず者国家と肩を並べることになった。1980年代、米国と他の民主主義諸国は、人種差別的なアパルトヘイト制度を廃止するよう圧力をかけるため、南アフリカからのボイコットや資産売却を行った。今、我々は同様の経済的圧力を行使し、ロシアが国際法に違反する平和国家への壊滅的な攻撃によって深刻な結果に直面することを確実に示さなければならない。」
ニューヨーク州上院議員、イライジャ・ライクリン・メルニック氏
この提案は、攻撃を受けて国際的な制裁措置がとられている中で行われた。ホワイトハウスのジョー・バイデン大統領は2月20日、米国の制裁にはロシアの銀行に対する措置が含まれ、プーチンを国際舞台での「除け者」にすると発表した。
ーコロラド州の年金基金によるロシア株ダイベストメントー
ロシアがウクライナへの軍事攻撃を続ける中、コロラド州年金基金がロシアの銀行から720万ドル(8.3億円)を引き揚げることを、同年金を運用するコロラド州公務員退職者協会(PERA)関係者が確認した。
ここから先は「ThinkESG プレミアム」会員限定の
コンテンツです。
4つの特典が受けられる「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」の詳細についてはこちらをご覧ください。
「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」へはこちらからお申し込みいただけます。