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米大統領選挙直前!トランプvsバイデン環境政策の徹底比較

11月3日(火)に迫った米大統領選挙はますます盛り上がりを見せている。今回のブログでは、トランプ、バイデン両候補の環境政策を比較する。

気候変動・パリ協定

トランプ氏は環境問題よりも自身の生活を案じるウェストバージニア、オハイオ、ペンシルベニア各州の石炭生産地の人々を支持基盤としている。彼らの雇用や経済を保証するために、地球温暖化防止のための国際的な枠組みであるパリ協定からの離脱を決めた。

バイデン氏は即座に復帰すると主張。夏に前代未聞な気温を記録したことや、カリフォルニア州で猛威を奮った山火事を懸念して気候変動対策に力を入れると宣言している。バイデン氏は公約にパリ協定の目標に整合する形で2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指すと明らかにしている。更に、他国に気候変動対策の強化を求めて、外交・防衛・貿易の戦略に気候変動対策を盛り込む。

エネルギー産業

トランプ氏は2016年の大統領選当選後、石油、天然ガス、石炭開発の規制を緩和する大統領令を発した。一部の大手石油会社が反対したにもかかわらず、メタン排出抑制の要請は撤回されている。また、連邦政府が管轄する大陸棚での原油流出対策強化も、トランプ政権になってから緩和された。トランプ氏の大統領就任後、石油と天然ガスの輸出量が輸入量を上回り、米国はサウジアラビアとロシアを超えて世界最大の産油国となっている。

バイデン氏は、4年間で2兆ドルの予算を組んで、交通・電力・建築分野でのクリーンエネルギーの利用を大幅に拡大する計画を発表。電力部門では2035年までに「100%クリーン電力」を実施すると宣言している。技術的には中立な基準であり、炭素ゼロを達成できれば発電手段は太陽光や風力、地熱、原子力に限らず、効果的な二酸化炭素回収システム(CCUSなど)を設置した火力発電も含まれると見込まれる。環境に優しい経済への転換は、高給の仕事を創出し、米企業を後押しすると強調している。

さらに、シェール産業の観点からも両者の政策を比較できる。シェール産業とは、地中深くの頁岩(シェール)から天然ガスや石油をエネルギー源として供給する産業である。安価な発掘方法であるフラッキング(水圧破砕)は水質汚濁や大気汚染、地震の誘発といったリスクがあり、問題視されている。トランプ氏はシェール産業を支持、バイデン氏はフラッキングの部分的な禁止を主張している。

環境科学・規制

上記のようにトランプ氏は化石燃料の開発をめぐる環境規制を緩和する政策を実施している他、アメリカの気象庁(NOAA)や環境保護庁(EPA)の長官に懐疑論者を抜擢し、環境科学の研究促進の妨害を起こしている。そのほか、安全な水や空気を守る規制(例えば自動車の排気ガス制限)も撤回したり、国立公園で採掘事業などを進めようとしている。

一方で、バイデン氏は一層環境規制を強化する政策を掲げる。まず、市民が安全で健康的な生活を送ることを目指す。例えば、ミシガン州フリント、ケンタッキー州ハーラン、ニューハンプシャー海岸地域などの住民への安全な飲料水の供給、環境・健康リスクを高める化石燃料などの企業への規制といった方針を掲げる。既存の大気汚染防止法の維持・実施、小型・中型車の新規販売台数の100%電動化、大型車の厳格な新燃費基準策定により、交通機関のCO2排出削減も目指す。また、2030年までにアメリカの土地と水域の30%を保護することで、生物多様性の保護と絶滅減速を狙う。さらに、環境技術の普及促進を担う新たな研究機関を設置し、100%クリーンエネルギーの供給と多様なセクターでの環境イノベーションを支える。

まとめ

トランプ氏は「中国が環境汚染をしている」と国連で演説をし、アメリカの脱炭素計画を棚に上げた。しかし、対する中国は「ポストコロナ時代の世界経済のグリーン回復」が必要であるとし、2060年までにカーボンニュートラルを目指すことを明らかにしている。トランプ氏が勝利すれば、米中貿易摩擦の激化から地球環境問題の解決に不可欠である国際強調体制が機能不全に陥る恐れがある。

バイデン氏は国際社会の期待に答える形で、2035年までに電力部門の脱炭素化、EV車販売台数の大幅引き上げ、エネルギー効率改善のために4年間で400万棟の建物を建て替えるなど、具体的かつ積極的な目標を掲げている。バイデン氏が勝利すれば、地球環境問題の解決に向けた国際協調にとって追い風になるだろう。

気候危機を回避するためには2050年までに温室効果ガス排出ゼロを目指すと言う世界共通のゴールを達成できるのか、大統領選挙の結果がその行方を大きく左右すると見られている。


参考リンク:

BBC:トランプ氏はなぜパリ協定離脱を考えているのか

Reuters:トランプ氏とバイデン氏、気候変動や石油業界巡り激論

Guardian:Climate at a crossroads as Trump and Biden point in different directions

Joe Biden : Plan for Climate Change and Environmental Justice

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