ESGブログ・意見

日本トップ3の運用会社のESG商品を徹底分析!

今年8月、アセットマネジメントOneが大和アセットマネジメントを上回り、日本の資産運用会社の純資産総額ランキングが入れ替わった。そこで今回は、トップ3社の野村アセットマネジメント、アセマネOne、大和のESG関連商品を比較した。

ESGをどう捉えているか?

始めに、日本の運用会社トップ3社がESGをどのように捉えているかを比べたい。

「地球のために、今できること。次世代のために、サステナブルな未来を目指して」

1位の野村は、同社のホームページでこのようなフレーズを掲載している。写真やイメージを多用し、初心者にもわかりやすく解説しているのが印象的だ。

(出処:野村証券)

一方、アセマネOneや大和はどうだろう。それぞれ以下のように各社のホームページに掲載している。

「ESGを投資分析に活用することで、お客さまの中長期的な投資収益の拡大を目指します

リスク抑制の観点のみならず、機会拡大の観点を重視します」(アセマネOne)

「当社は、資産運用ビジネスを通じて、受益者の中長期的な資産形成に資することを目指しています。この目的を達成するためには、(中略)企業や団体の中長期的価値や持続可能性の向上が不可欠であり、同時に社会の持続可能性の維持が前提となります。」(大和)

サステナブルな未来構築を第一に掲げる野村とは異なり、アセマネOneと大和は比較的ESG投資を利益を拡大するための手段として捉えていると伺える。

野村アセットマネジメント

956件ある商品のうち、特設サイトで扱われているのはアクティブ型、テーマ型を含む7本である。インデックス型ESGファンドは取り扱われていなかった。今回は規模が大きいファンドと特殊なテーマ型ファンド2本を紹介する。

野村ブラックロック循環経済関連株投信<愛称:ザ・サーキュラー>

野村のラインナップについては以前のニュースで紹介した。

数あるESGファンドの中で最も純資産総額の規模が大きいのが、野村ブラックロック循環経済関連株投信<愛称:ザ・サーキュラー>だ。新規ファンドのため年間リターンのデータはまだないが、純資産総額は約430億円となっている。

米国・ニューヨークに本拠地を置く、ブラック・ロックが運用しており、年2回決算時期を設定している。投資対象として「変化に対応する企業」「変化を促進する企業」「変化の恩恵を受ける企業」の3分野を設定し、2段階に分けて選定している。

(出処:野村証券)

「ブラックロック・グローバル・ファンズーサーキュラー・エコノミーファンド」と「野村マネー マザーファンド」の複数のファンドを投資対象とする、ファンド・オブ・ファンズ方式を採用している。税込み・年率の運用管理費は年1.10%となっている。新規ファンドのため、詳細な構成銘柄は掲載されていないが、サーキュラー・ エコノミー関連銘柄を対象にしている。

(出処:Morningstar)

野村ACI先進医療インパクト投資

医療分野に特化した、テーマ・アクティブ型のファンドだ。アメリカン・センチュリー・インベストメント・インクに運用が委託されている。世界各国の先進医療関連企業を対象にインパクト投資を実施するファンドである。ここでの先進医療関連企業とは、製薬、バイオテクノロジー、医療機器、医療・健康サービス関連企業などのうち、先進的な技術の発展・開発や先進的な医療サービスの提供に寄与する、もしくは恩恵を受ける考えられる企業などを指す。

ポートフォリオ構築プロセス下図のようになっている。先進医療関連企業の中から、成長加速度、財務状況などを加味した定量的なポジティブスクリーニングを実施した上で、専門チームによってインパクト投資やESGの観点を含めたファンダメンタルズ分析を実施している。

(出処:野村アセットマネジメント)

分配頻度や為替ヘッジの有無の異なる4つのコースから構成されている。すべてのコースにおいて、1年間のリターンは約20%となっている。

(出処:Morningstar)

テーマの通りにヘルスケア・医療関連が構成銘柄の上位に多い。国別に見ると、約90%をアメリカが占め、次いでスイス、香港が続いている。運用管理費は年1.815%ととなっている。

ワールド・ウォーター・ファンド

世界の水関連企業の株式を主体に、空気関連企業の株式も加えて 投資を行なうことを基本としたテーマ型ファンドだ。水関連企業には、上下水道事業など水質の改善・浄化を行なう企業 、ミネラル・ウォーターの製造・販売企業、汚水や廃棄物の処理を行なう企業 、関連装置の販売・コンサルティング等を行なっている企業が含まれている。空気関連企業には、空気汚染調査を事業とする企業、空気清浄装置や自動車の触媒コンバーターの製造・販売を行なう企業が含まれている。

銘柄選定にあたっては、前記の投資対象企業の中から高い成⻑や安定した収益が期待される企業の株式を、ボトムアップの観点で調査・分析し、バリュエーションを勘案して投資銘柄を選定している。

(出典:野村アセットマネジメント)

テーマ型ファンドだが、組入銘柄の業種は幅広く、英米中心の企業が対象となっている。年間リターンは10.69%、運用管理費は年1.87%だ。

アセットマネジメントOne

全部で588本あるラインナップの中で、「ESG」で検索をかけると3本ヒットした。各種ファンドを詳しく見てみよう。

One グローバルESG厳選株F <DC>

主に日本を含む世界の金融商品取引所に上場する株式に投資を行い、長期的な値上り益の獲得をめざして運用を行うアクティブ型のファンドだ。投資ユニバース構築にあたっては、企業のESGへの取り組み、財務面での安定性等について定量・定性の両面からネガティブ・ポジティブスクリーニングを実施している。

銘柄選定にあたっては、中長期的な成長期待を背景に良好なリターンが見込める銘柄を、株価面での割安性および市場環境を勘案しながら厳選しているが、交付目論見書や請求目論見書には具体的な銘柄は記載されていない。年率リターンは16.58%、運用管理費は年率1.353%となっている。

(出処:アセットマネジメントOne)

(出処:Morningstar)

GESGハイクオリティ成長株式F(H無)

主に国内および新興国を含む世界の金融商品取引所上場株式を対象にしている。 ポートフォリオの構築にあたっては、投資アイデアの分析・評価や、個別企業の競争優位性、成長力、ESGへの取り組みなどの評価に基づき選定した質の高いと考えられる企業の中から、市場価格が理論価格より割安と判断される銘柄を厳選している。2020年7月20日の新設定ファンドとして実績は短いが、運用管理費は年率1.848%となっている。

(出処:アセットマネジメントOne)

(出処:Morningstar)

構成銘柄は以下のようになっており、米国企業、情報技術が多く含まれている。

(出処:Moriningstar)

One ETF ESG

FTSE Blossom Japan Indexに基づくインデックス型のファンドだ。この指数は、世界でESG調査・研究を15年以上にわたって実施するロンドン証券取引所グループのFTSE社が公表しており、東京証券取引所の市場第一部、市場第二部に上場する銘柄のうち、ESG評価が一定の水準を満たす銘柄を選定し、特定の業種へ偏りが生じないよう構築している。2014年9月22日を基準値100として算出・公表されている。

銘柄の組み入れ上位は以下のようになっており、バラエティに飛んだラインナップとなっている。

(出処:アセットマネジメントOne)

運用管理費はファンドの日々の純資産総額に対して年率0.143%(税抜0.13%)以内の率を乗じて得た額となっており、2020年10月8日現在は、年率0.143%(税抜0.13%)となっている。年間リターンはTOPIXの6.53%に対して、2.22%だ。

大和アセットマネジメント

全717本あるファンドの中でESG関連は3種類4本ヒットした。それぞれについて紹介する。

(出処:大和アセットマネジメント)

クリーンテック株式ファンド(資産成長型)(愛称:みらいEarth S成長型)

日本を含む世界のクリーンテック関連企業の株式に投資し、信託財産成長目指すことを目的として掲げているファンドだ。クリーンテック関連企業とは、環境にやさしい輸送手段の利用、代替エネルギーへの移行、より健康的な食生活と持続可能な食糧供給の実現、水資源の保全や再利用、廃棄物削減などを促す活動を事業の中心に据える企業を指す。

アクサ・インベストメント・マネジャーズが運用しており、純資産総額は約52億円だ。ファンドの選定方法については、以下のように3段階に分けて実施しているが、詳細な判断基準については交付目論見書に記載がない。

(出処:大和アセットマネジメント)

新規ファンドのため年間リターンのデータはなく、運用管理費は年率0.5731%となっている。月次レポートでは、以下の組入上位銘柄が掲載されていた。米企業が多く、金融・エネルギー・医薬品・半導体など幅広い業種が対象になっている。

(出処:大和アセットマネジメント)

ダイワ上場投信-MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数

信託財産の1口当たりの純資産額の変動率を 「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」の変動率に一致させるインデックス型ファンドだ。この指数は、MSCIジャパンIMIトップ700 指数構成銘柄の中から、親指数における各業種分類の時価総額50%を目標に、ESG評価に優れた企業を選別して構築されるものだ。

業種のウェイトは次のようになっている。

(出処:MSCIジャパン)

組入上位銘柄は以下のようになっており、電気・機会系が多くなっている。年間リターンは5.77%で、運用管理費は年率0.165%となっている。

クリーンテック株式&グリーンボンド・ファンド(資産成長型)(愛称:みらいEarth成長型)

このファンドは日本を含む世界のクリーンテック関連企業の株式およびグリーンボンドに投資し、信託財産の成長を目指している。グリーンボンドとは二酸化炭素の排出量削減や再生可能 エネルギー発電能力の増強など、環境にやさしいプロジェクト向けの資金調達を目的として発行された公社債を指す。アクサ・インベストメント・マネジャーズによって運用されており、純資産総額は約17億円だ。

クリーンテック関連企業とグリーンボンドでポートフォリオの選定方法は異なり、以下のように選定されている。しかし、こちらも具体的な評価基準について交付目論見書に記載はない。

(出処:大和アセットマネジメント)

組入銘柄はアクサ・インベストメント・マネジャーズのアクサIMクリーンテック関連株式ファンド (50.6%)とアクサIMクリーンボンド・ファンド(48.9%)の2本となっている。新設定ファンド(設定日2020年2月)のため、年間リターンのデータはなく、運用管理費は年率 0.5731%となっている。2020年5月11日時点のアクサIMクリーンテック関連株式ファンドの組入上位銘柄は以下の通りだった。米企業が大半を占めている。

アクサIMクリーンボンド・ファンドの組入上位銘柄はフランスやオランダの国債を含む以下の通りだ。

(出処:大和アセットマネジメント)

まとめ

トップ3社合わせて、ESG関連商品は計13種類あった。ここまで見てきたように、日本トップの運用会社のESG関連商品の本数はまだ少ないものの、バラエティ豊かと言えるだろう。野村は今月から新たにESGファンドの運用(野村環境リーダーズ戦略ファンド)を開始させるなど、ESGに配慮した商品の需要が高まる中、今後も新たな商品が増えそうだ。

いずれのファンドも「E(環境)」に配慮したファンドを提供しており、一つのトレンドと言えるだろう。アセマネOneと大和は3種類しかなく、野村は種類が多いもののインデックス型商品はなかった。また3社とも外資の運用会社(米ブラックロック、仏アクサ、米ACI)またはデータプロバイダー(MSCI/FTSE)とのコラボ商品を提供しており、それぞれの委託会社の実績とESG配慮のクオリティーに注目したい。

銘柄の選定基準の透明性が十分に高いと言えないものもある。投資先を決定する際は、過去のパフォーマンスや交付目論見書を参考にしながらリスクを十分に調べる必要があるだろう。クオリティの高いESG商品を求める個人投資家のニーズに応じて、運用会社とESG投信のさらなる透明性を期待しいたい。

ThinkESGプレミアム

プレミアム会員になる

-ESGブログ・意見

Copyright© ThinkESG , 2021 All Rights Reserved.