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ミャンマー・クーデター: 今、求められる日本企業の人権問題への対応

 新型コロナウイルスの社会的影響においてESGのSへの注目度が高まっている一方で、Sのテーマで特に重視されているのはビジネスの人権への配慮。中国の新疆区域でのウイグル族強制労働問題に加え、ミャンマーの国軍が起こしたクーデターの影響で人権侵害が深刻化する地域で経済活動を続ける日本企業の人権問題への対応が問われている。

 ミャンマー・クーデターから3ヶ月。国家の全権を掌握したミャンマー軍によるNLD議員の暗殺、一般市民の殺害など現地の人権団体は、これまでに759人が犠牲になったとしていて、依然として緊迫する状況が続いている。

 クーデターを起こしたミャンマー国軍の資金源を止めるために、欧米投資家や政府がミャンマー軍との関係を打ち切る流れが起きているが、その資金源に、間接的に日本企業10社以上が関与している疑いが見られている。

【ヤンゴン市内都市開発 (通称 Y Complex Project)】

Y Complex Projectとは?

 Y Complex プロジェクトは、ミャンマーの最大都市ヤンゴンの一等地である軍事博物館の跡地に、大規模複合不動産を建設・運営する開発事業。事務所、店舗、ホテル、サービスアパート、駐車場が作られる予定で、2018年8月に着工、2021年の開業予定で建設されている。

軍への資金提供につながっている疑い

 このY Complex プロジェクトは、日系のゼネコンや官民ファンドなどが現地企業と合弁で手がけている。国際的な人権団体は、この施設の建設地が軍事博物館の跡地であり、賃料の支払いが現地企業を通して、軍への資金提供につながっている恐れがあると指摘している。このプロジェクトには、官民ファンドの都市開発事業支援機構(JOIN)、東京建物、フジタが合同で立ち上げた事業会社が80%の出資をしている。残りの20%は、ミャンマー法人のYTTC社が行っているが、賃貸借契約書の内容から、このYTTC社からミャンマー国軍の兵站総局に対し、事業地の土地代が支払われていると考えられる。


(*参考:Justice for Myanmarのプロジェクト出資者の関係図)

 また、総事業費は約3億3,250万米ドル(約377億円)の予定で、うち約8割を日本の公的ファンドや民間が出資するとされている。公的ファンドである 国際協力銀行(JBIC)と 都市開発事業支援機構(JOIN)や民間銀行の三井住友銀行、みずほ銀行が、このプロジェクトに出資している。

 みずほリサーチ&テクノロジーズの酒向浩二主席エコノミストは「ミャンマーに対する国際社会からの厳しい視点に立った企業であること、そして、国軍への資金環流には一切関わっていないということを訴求していくしかないと思う。」とNHKの取材に対して、答えている。

 一方、ミャンマーの活動家グループ「Justice For Myanmar」は、Twitter上で、みずほ銀行のこのコメントに対して「みずほは恥ずかしくないのだろうか?嘘つきのみずほは、軍から土地を借りているY コンプレックスプロジェクトを通じて、残虐行為に加担している。犯罪に資金を提供するのはやめろ! 」と激しい怒りをあらわにしてる。


(Justice For Myanmarのツイート)

 共同通信による調査によると、上記のY Complex開発に関わる企業を含め、少なくとも10社の日本企業がミャンマー軍に関係するビジネスに関与している疑いがあるという。

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