国際的組織が、企業向けに初めて「科学的根拠に基づく自然に関する目標」を発表した。これは、企業が生物多様性や生態系の損失を防ぐための目標設定をすることを促すものであり、自社の事業活動による自然環境の負荷を最小限に抑えるための具体的な指標を提供している。これによって企業は、自社の経営戦略を科学的根拠に基づいて評価し、より健康で、より回復力のある、公平な世界を目指すための目標を設定することができる。
科学的根拠に基づく自然に関する目標
80以上の環境NPOや慈善団体などの国際的組織であるThe Science Based Targets Network(科学的根拠に基づく目標ネットワーク)は、科学的根拠に基づく自然に関する目標(英: science-based targets for nature「SBTN」)を発表した。これはネットゼロ*1で自然豊かな未来を実現するために、企業が役割を果たせているかを確認する際の指標として使うことができるため、国際的な問題である自然破壊に立ち向かう大きな一歩となる。科学的な数値目標と実現可能性を調整するために、すでに200以上の企業が試験に協力しており、この中には、25カ国、20以上のセクターを代表し、時価総額は4兆ドル(557兆円)以上であるSBTNのコーポレート・エンゲージメント・プログラムに参加している115社が含まれる。
負の影響を減らし正の影響を増やす
SBTNの発表によって、企業は入手可能な最先端の科学に基づいた、自然に対する影響の評価や目標設定が可能になった。具体的には、陸上生態系の保護と回復のための土地目標や、淡水の質と量に対する環境影響を評価し、自然や人間に対する負の影響を減らし正の影響を増やすことができる。SBTNを推進するネットワークは、生物多様性、気候変動、持続可能なビジネス形態は相互に関連していることを強調している。SBTNはあらゆる規模や分野の企業に、科学的根拠に基づいた自然に関する包括的な目標を提供する複数年計画の一環であり、科学技術の進歩に伴い、その範囲は拡大していく予定であること、そして本目標は、生物多様性フレームワーク、パリ協定、国連のSDGsなど、気候、自然、開発に関する世界的な目標と整合していることが特徴的だ。
2024年の導入を目指して
The Science Based Targets Network(科学的根拠に基づく目標ネットワーク)はすべての企業に対し、SBTNの技術的手法を用いた環境影響の評価を開始し、2024年のSBTNによる検証を受けられるような淡水と土地の目標を設定する準備を進めるよう求める。*2
2023年現在、世界初のSBTN設定への企業向けガイダンスの最初のグループである17社が、目標検証と、ベータ版である土地手法の試験運用を行っている。この17社の中に、日本企業からは唯一
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