以前のブログでも取り上げたインパクト投資。
SDGsを達成するための手段として、ポジティブな社会的インパクトを意図とし、そのインパクトの持続可能性を支えるために経済的リターンを求める投資方法であるインパクト投資が注目を集めている。インパクト投資家は、投資先企業と連携しながら自身の投資がもたらした社会・環境面の影響について評価を実施。なお、インパクト評価においては、投資先企業の事業評価のみならず、投資家の投資先決定プロセスや投資先企業への非資金的支援を評価する。
今回のブログではその商品を紹介する。
目次
マネックス・アクティビスト・ファンド
(出処:Morningstar)
マネックス・アセットマネジメントが運用するファンドだ。こちらの運用会社といえば、社会的問題に対して積極的にコミットする企業への投資を通して世の中を応援することを「#ため活」と題して発信している。
純資産総額約43億円、運用管理費は年率2.20%である。日本の株式を対象にしており、ファミリーファンド形式を採用している。
銘柄選定については、経営戦略・事業モデル・経営陣の質・財務状況などから企業を分析するアクティブ型で、財務面とESGを含む非財務面の観点から統合的判断している。また、カタリスト投資顧問株式会社からの助言を受けながら運用している点も特筆事項だ。具体的な構成銘柄について、目論見書に記載がなかったが、特徴は投資対象企業に対して「目的を持った対話=エンゲージメント」や提案を通じて企業価値の中長期的成長を目指すこと。新設定ファンドとして、実績はまだ測れない中、今後そのエンゲージメントの定期的インパクト評価と開示を期待したい。
アクティビストファンドの詳細情報は以下の公式ページからご覧ください。
楽天・ポジティブ・インパクト株式ファンド
楽天投信投資顧問株式会社が運用するインパクトファンドで、日本を含む世界各国(新興国を含みます)の株式を主要投資対象としている。スイス・ジュネーブに本拠を置くプライベートバンクであるUBP(ユニオンバンケールプリヴェ)の「ポジティブ・インパクト戦略」に沿った、社会をポジティブに変える事業を生業としている企業の株式への投資を目的としている。純資産総額は約12億円で運用管理費は年率1.5575%だ。
銘柄選定にあたっては、企業方針・考え方に着目するIntentionality(企業の意図)、企業のポジティブインパクト事業の収益と売上度合いなどを考慮したMateriality(実績)、企業が展開するポジティブインパクト事業の市場成長性などの Additionality(付加的要素)、 Potentiality(潜在性)の4つを判断基準とし、UBP独自のインパクトスコアで企業を評価する。高いスコアの企業25〜35銘柄を選定している。
具体的な組入銘柄の情報は目論見書で確認できなかったが、月次レポートでは組入上位10銘柄は以下の通り掲載されていた。ヘルスケア、資本財・サービスや素材系が多く、欧米企業が大半を占めることが分かる。
楽天・ポジティブ・インパクト株式ファンドについてより詳しい情報は楽天証券の公式ページからご覧ください:
三菱UFJベイリーギフォードインパクト投資ファンド
三菱UFJ国際投信が運営する、純資産総額約3億円、運用管理費年率1.4630%のテーマ型、アクティブ型のファンドだ。「インパクト・テーマ」(平等な社会や教育の実現、環境や自然保護、医療や生活の向上など)に沿って、社会的課題の解決に資する事業を実施する企業の中から投資機会を発掘している。
外国投資法人の運用は、英国の独立系運用会社 であるベイリー・ギフォード&カンパニーのグループ会社であるベイリー・ギフォード・インベストメント・マネジメント(ヨーロッパ)リミテッドが実施する。
銘柄選定にあたっては下記のように3段階に渡り分析しており、ファンダメンタルズ分析やインパクト分析を実施している。
株式や債券などに直接投資せずに、複数の他の投資信託証券に投資するファンド・オブ・ファンズ方式を採用している。インパクト分析では、5年以上のロングスパンでの社会や環境への影響度合いを企業の意志、製品やサービスのインパクト、事業活動の方法などの点から専門チームが分析している。*
組入銘柄で目立つのがヘルスケアや一般消費財・サービス、情報技術だ。国別に見るとアメリカが最も高い割合を占めている。
ベイリーギフォードインパクト投資ファンドは多くのネット証券会社で販売されており、楽天証券、松井証券、マネックス証券、やSBI証券でも商品を確認できる。
まとめ
一口に「インパクト投資」と言っても、投資規模、対象、運用方法はバラバラである。それぞれのファンドがどのように投資を実施しているのか、調べた上で慎重に投資先を検討したい。インパクト投資において重要なのが、投資先企業の価値向上と、その企業行動を通じた社会・環境へのポジティブチェンジである。ファンドが社会に及ぼす影響をどのように評価・測定するのかを確かめる必要がある。