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450社超の機関投資家、政府に対して早急な気候変動対策を求める

G7先進国首脳会議の前日、41兆米ドルの資産を運用する457社の機関投資家らは、新たな共同声明を発出し、世界のすべての政府に対して、気候危機に対するさらなる協調行動を求め、目標が低く対応が遅れる国は何兆ドルもの投資を逸失するだろうと警告した。同声明は、気候変動に関する政府に向けてのグローバル投資家声明として過去最大の運用資産総額を代表するものとなっている。署名機関には日本の資産運用会社のアセットマネジメントOne、日興アセットマネジメント、りそなアセットマネジメント、三井住友トラストアセットマネジメント、三菱UFJ信託銀行も含まれる。

「2021年 気候危機に関する政府に向けてのグローバル投資家ステートメント」は、各国政府に対して、気候変動対策の強化と有益な対策の実施を求め、気候危機に対処する国や地域は機関投資家の投資対象になると指摘する。特に、2021年の声明は、気候関連財務情報開示に関して改善ではなく義務化を求め、「気候危機」の認識を明確にしたものとなっている。また、コロナパンデミックの壊滅的な影響を反映し、その耐性ある経済復興計画において、進行中の排出ネットゼロ社会への公正な移行を支援するよう求めている。

The Investor Agendaの創設7団体により作成された同声明は、「我々は、ネットゼロと整合性のある野心的な目標を設定し、一貫性のある短中期的な気候変動政策を実施する国が、ますます活発な投資対象国となることを確信しています。 パリ協定の全面的な実施は、この新たな経済に求められるクリーンな技術、グリーンインフラ、そして、その他の資産、商品およびサービスにおける大規模な投資機会をもたらします」としている。

2021年の声明への発出時の賛同署名機関の公表は、11月の第26回国連気候変動枠組条約締約国会議 (COP26)に向けて、より多くの投資家を野心的な気候変動対策を求めるアドボカシーへ促すため、G7サミット前に行われた。

現時点の賛同署名機関の内には、世界最大級の機関投資家と運用会社が含まれている。457署名機関の運用資産額の合計は41兆米ドル強となり、世界の運用資産の概算で37%となる。

その内の51署名機関は、運用資産額がそれぞれ2,000億ドルを超えている。最大級の投資家らは、ますます、2050年以前のポートフォリオの排出ネットゼロを誓い、そのための排出削減目標を定期的に公開すると宣言している。

賛同署名機関は、各国政府に対して、11月のCOP26以前に以下の5つの行動をとるよう求めている。

  1. 温暖化を1.5℃に抑制するため、2030年の自国が決定する貢献(NDC)を強化する。
  2. 今世紀半ばまでを目途とする自国のネットゼロ排出目標にコミットし、炭素集約的なセクターに対する明確な脱炭素化ロードマップを含む野心的な中間目標を伴う経路を明確にする。
  3. 上記の目標を実現する国内政策を実施し、民間投資をネットゼロ貢献策に促し、2030年以前の野心的な行動を確かなものとする。そのために、本格的なカーボンプライシング、期限を設けた化石燃料助成金の廃止、実現可能な1.5℃経路と整合性のある期限を設けた石炭火力発電所の段階的廃止、炭素集約型インフラの新設回避(例、石炭火力発電所の新設回避)、および、影響を受ける労働者と地域社会向けの公正な移行計画の策定を行う。
  4. 新型コロナウイルスからの経済再生策が、排出ネットゼロへの移行とレジリエンス向上に資するものであることを確認する。
  5. 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に準拠した気候リスク情報開示の義務化の実現にコミットする。

多くの国が、COP26を前にNDCを更新することを通じて2030年の削減目標を改善するなど気候政策を改めている、あるいは、改めることを誓っている。しかしながら、ほとんどすべての国で、気候政策と気候ファイナスの大きなギャップが存在し続けており、世界は、さらなる目標の必要性を過小評価しているため、現状、パリ協定の目標を満たす軌道上にはない。

気候変動に関する政府に向けてのグローバル投資家ステートメントに457社の機関投資家が署名していることは、温暖化ガス排出量ネットゼロを目指す投資家行動が加速しているという事実を強調している。

賛同署名投資家の代表らは以下の通りコメントしている:

「2050年に世界がネットゼロを実現するためには、特定の企業だけでなく、企業全体、社会全体がネットゼロに向かう必要があります。そのためには、企業、金融機関、NGO等の「非国家アクター」の動きも大事ですが、気候変動のような大きな課題に関しては、各国政府の協調した野心的な政策がなければ、実現不可能です。投資先企業が安心して前に進めるような野心的な、かつ明確で首尾一貫した政策の実施に向けて、我々は、各国政府と連携し、ネットゼロの社会へ移行するために資産運用会社としての役割を果たしていきたいと考えております。」

アセットマネジメントOne株式会社 取締役社長 菅野 暁 氏

「世界がCOP26に備えるにつれて、投資家は、ポートフォリオのネットゼロ化にコミットし、企業に対して行動を求めパリ協定の目標を達成するよう促しています。政府は、これらの取り組みの協力者でなければなりません。気候レジリエントで排出ネットゼロ経済への移行を促す政策を法制化することで、世界各国の政府は、より良い未来への道筋を示すことができ、経済を繁栄させ、雇用を生み、気候ソリューションへの投資機会を拡大させることができます。」

ニューヨーク州会計監査官 トーマス・P・ディナポリ 氏

「気候変動は、地球が直面する最も差し迫った脅威のひとつであり、必然的に企業の長期的な収益性と持続可能性に重大なリスクをもたらします。私たちフィデリティ・インターナショナルは、可能な限り早期にネットゼロへの最良の道筋を業界をあげて見つけなければならないと今まで以上に認識しています。私たちのメッセージは明確です。気候危機は、看過されるべきでなく、また、看過できるものでもありません。」

フィデリティ・インターナショナル グローバルヘッド・オブ・スチュワードシップ・アンド・サステナブルインベスティング ジェン・フイ・タン 氏

「私たちは、企業に対して、ネットゼロ目標だけでなく、そこに到達する過程についてもエンゲージメントを行っています。ネットゼロへの後押しは、緊急かつ必要なものです。また、企業がコミットメントを達成して長期的に投資家に価値を提供するために選択する移行経路を理解することも、同様に重要です。」

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ グローバル・チーフ・インベストメント・オフィサー ロリ・ハイネル 氏

「アライアンス・バーンスタインは、気候変動対策に完全に投資しています。この声明に署名することで、私たちは、他の投資家と協働して気候政策の主要分野における政府のアクションを促し、気候レジリエンスへの投資を促進します。」

アライアンス・バーンスタイン グローバルヘッド・オブ・リスポンシブル・インベストメント ミシェル・ダンスタン 氏

2021年 気候危機に関する政府に向けてのグローバル投資家ステートメント」全文

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