世界最大規模の資産運用会社ブラックロックが発表した調査によると、最近の市場低迷の中でESG ポートフォリオが従来の市場ベンチマークを上回ったことを示す報告が改めて肯定されました。
目次
高まるESGへの期待
約6.5兆ドルの資産を運用する同社の最新の調査報告書では、2020年の最初の4ヶ月間において、持続可能な社会の実現に貢献する会社を投資対象とする「サステナブル・インデックス」の88%が、そうでないものの成績を上回ったと述べています。実は、これと同じような結果が、2015〜2016年と2018年に世界の株価が下落した際にも確認されています。
さらに、ブラックロックはモーニングスターの持続可能性評価の上位10%にランクされたオープンエンド型ファンドが、下位10%のファンドを大幅に上回っていることも明らかにしました。第 1 四半期の平均では、最も持続可能性の高いファンドが同業他社の上位半分よりも、高い財務リターンを得ている傾向がありました。
一部では、ESGファンドの優れた比較パフォーマンスは、ほとんどのファンドが石油価格の下落で潰されたエネルギー企業に比較的少ない投資していることに起因しているとの指摘もあります。これに対しブラックロックは、エネルギー価値の低迷は「アウトパフォーマンスのほんの一部を説明しているに過ぎない」と述べています。
さらに同社は「今回の市場の乱高下と経済の不確実性は、ESG特性が市場低迷時の回復力を示すという当社の信念をさらに強めています」と説明しています。
他社のESG分析はいかに
今月初め、世界有数の金融サービス会社であるアリアンツ・グローバル・インベスターズは、第1四半期には持続可能な戦略の大部分が広範な市場ベンチマークを上回ったと発表しました。他にも4月には、グローバルに事業を展開する独立系資産運用会社、インベスコのマネーマネージャーが、ESGスコアの高い有価証券のポートフォリオの方が全般的に良い結果を出したと述べています。(以前のブログ:コロナxESGでもその理由について分析しました)
しかし、ESGに関する全てのデータが完全に肯定的という訳でもなさそうです。米国の金融テクノロジー企業ブルームバーグがまとめたデータによると、金曜日の時点で、ESGに焦点を当てた米国の投資信託のうち、今年のベンチマークを上回ったのは10大ファンドのうち4本だけでした。
今後の持続的な成長への期待
それでもブラックロックは、ほとんどの持続可能なポートフォリオの回復力は過去の市場の混乱期と似ており、このことが投資家の注目を集めるのに役立っていると指摘しています。世界のサステナブル投資信託および ETF の第 1 四半期の資金流入額は 405 億ドルで、前年同期比 41% 増となりました。
「市場が異常に縮小している時期にもESGファンドに資金が流入したことは、『市場の急激な低迷期には投資家が持続可能性を優先しなくなる』という、これまでの懸念を覆すものです。投資家が持続可能性を求める傾向は、今後も持続していることを示唆しています」とブラックロックは述べています。
【参照リンク】BlackRock Joins Allianz, Invesco Saying ESG Outperformed
【ブログ】コロナxESG