ブルームバーグNEFの調査で、「取締役会の女性比率30%」を超えた企業は、気候変動に対する取り組みが優れていると結論付けられた。本記事では、その3つの要因について解説する。
気候ガバナンス
取締役会における女性の役員比率が30%を超える企業は、世界的に気候変動に対するガバナンスが向上している。以下のグラフで示されているように、企業の環境情報開示スコアは、女性の役員比率が30%を超える企業が最も高いという結果が出ている。
(出典:ブルームバーグNEF)
その上、電力業界、石油・ガス業界、鉱業界など、環境への影響が大きい産業であっても、女性の役員比率が30%を超える企業は、環境情報開示スコアが最も改善していることが示されている。
(出典:ブルームバーグNEF)
また、女性の役員比率が30%を超える企業は、は、TCFD(気候関連の財務情報開示に関するタスクフォース)を早期に採用する傾向がある。TCFDのような国際的なイニシアチブは、より良い気候ガバナンスのための重要なドライバーとされている。さらに、取締役会のジェンダーダイバーシティ規範を法制化している国は、高い環境情報開示スコアを有していることもわかった。
環境性能
また、女性の役員比率が30%を超える企業は、女性比率が低い企業に比べてより、CO2排出量削減に向けた積極的な取り組みを示している。
(出典:ブルームバーグNEF)
気候イノベーション
そして、ジェンダーの多様性は、より良い気候ガバナンスとイノベーションに正の相関がある。
例えば、取締役会でのジェンダーの多様性が高いほど、女性取締役のいない会社の10倍以上の無形資産を保有している。さらに性別の多様性が高いほど研究開発費も増える傾向がある。
(出典:ブルームバーグNEF)
ブルームバーグNEFが今回行った調査結果は、ジェンダーの多様性が気候イノベーションに大きな影響を与えるとされている。というのは、女性は男性よりサステナビリティの視点を仕事に取り入れる傾向があると言われており、そのため、女性投資家の重役や女性のインキュベーターは、サステナビリティとクリーンテックに焦点を当てて、起業家を支援する傾向にあるからだ。
このように、ジェンダーの多様性の高さは、企業の気候変動対策への取り組み度合いに大きな影響を与える。