ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

【COP28連載⑤】米中の気候変動合意、再エネを30年までに3倍に

11月15日に行われたアメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談が行われた。*1 首脳会談に先駆け、ジョン・ケリー米国気候担当大統領特使と謝振華中国気候変動担当特使は、気候変動対策に関する米中共同声明を発表した。*2

その共同声明の主な内容について取り上げる。

両国は、停止していた気候変動対策を話し合う作業部会の再開、メタンガス削減などの協力関係を強化することを発表し、パリ協定の目標達成に向けて世界を動かしていく意思を見せた。さらに2030年までに世界の再生可能エネルギーの導入量を3倍増加することに関して両国ともに支持する方針で一致した。この目標は11月30日から始まる国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で、議長国のアラブ首長国連邦(UAE)と米欧が主導してすべての参加国による合意を目指す目標のうちのひとつである。

温室効果ガス排出の40%を占める両国が協調

中国と米国は温室効果ガスの排出量でそれぞれ世界首位と2位を占めており、気候変動問題は、両国の歩み寄りが特に期待される分野である。温室効果ガスの4割近くを占める両国の積極的な行動なしには気温上昇を抑えることは不可能だ。近年さらに政治的・経済的な緊張感が高まっているアメリカと中国の間で、気候変動の緩和を目的とした協定が結ばれたことは互いの大きな譲歩であると言える。

クリントン政権とオバマ政権の元温暖化交渉官でエネルギー省高官、現在はコロンビア大学グローバルエネルギー政策センターのデビッド・サンダロー氏は、「世界最大の排出国2カ国は、気候変動との闘いにおいて大きな相違を克服し、協力することができた。これは世界の他の国々に明確なシグナルを送るものだ」と語った。

COP28に向けて政治の安定性

中国とアメリカは、エネルギー政策、戦略、技術、より広範な気候変動対策に関するワークショップの再開を含め、より実質的な対話を開始する予定だ。2022年8月にナンシー・ペロシ下院議長(当時)が台湾を訪問して以降、北京とワシントン間の外交関係は停止、このような交流は中断されたままであった。アジア社会政策研究所の中国気候拠点ディレクターであるリー・シュオ氏は、両国の関係は依然として「困難」だと述べた。また今回の共同声明は「方向性を決める」というよりは「議論の場を設定する」ものに留まったが、この共同声明はCOP28気候変動会議に向けて「政治を安定させる」助けになるだろうと彼は付け加えた。

中国の取り組みは地球を冷やすために重要

中国は、2035年までに二酸化炭素以外の温室効果ガスを気候行動計画に含めることに合意した。共同声明によれば、中国の以前の計画は二酸化炭素のみを対象としていたが、現在はメタンガス、亜酸化窒素、その他の非二酸化炭素ガスにも取り組むことを約束している。

グラスゴーで開催されたCOP26で各国が「グローバル・メタン・プレッジ」に合意し、2030年までにメタン排出量を30%削減することを目指したとき、中国は署名国に含まれていなかったため、メタンガスへの取り組みは大きな一歩と言える。*3

元国務省気候担当官で、現在はメリーランド大学、世界持続可能センターのディレクターを務めるネイサン・ハルトマン氏によれば、中国の非二酸化炭素ガスの量だけでも世界第3位を占めているという。またハイドロフルオロカーボン(家電製品の冷媒として使用される熱を奪うガス)の最低基準を設定すると約束したことは重要だと彼は付け加えた。中国は、発展途上国で販売するためにハイドロフルオロカーボンを使用する製品を製造している主要国であり、今後はエアコンの購入が世界的に増加すると予測されている。

電力部門の脱炭素化が先行

中国はまた、共同声明で初めて「電力部門の意味のある絶対的な排出削減」を目指すことを約束した。これは、中国は再生可能エネルギーをより多く導入することで、これまで急ピッチで建設してきた石炭火力発電の使用を減らすということを意味する。前出のサンダロー氏は「これは非常に立派なことだ」とコメントした。

2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍

米中はまた、国際エネルギー機関(IEA)やG20諸国、今年の気候変動会議の主催者が設定した、2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍にするという目標を含む、その他の措置にも合意した。協定の文言では、このような導入は「石炭、石油、ガス発電の代替を加速させる」とされている。

また、より広範なパートナーシップにも合意した。両国は、化石燃料から排出されるガスを地下や他の製品に貯蔵する技術である炭素回収・利用・貯蔵プロジェクトを、少なくとも5つ「共同で」進めることを目指す。そして、2024年前半に気候変動に関する純国家レベルのイベントを開催することを約束した。

化石燃料の廃止については言及無し

この合意に対する初期の反応の多くは、慎重ながらも肯定的なものであったが、専門家は、合意に含まれなかった目標やターゲットについて指摘した。

ここから先は「ThinkESG プレミアム」会員限定の
コンテンツです。

4つの特典が受けられる「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」の詳細についてはこちらをご覧ください

「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」へはこちらからお申し込みいただけます

「ThinkESG プレミアム」会員の方はログインしてください。

ThinkESGプレミアム

プレミアム会員になる

-ESGニュース, ThinkESGプレミアム会員限定
-, , ,

© 2024 ThinkESG

ThinkESGプレミアム会員になりませんか?

ThinkESGプレミアム会員募集中!月々ワンコイン(495円税込み)で、最新のESGニュースやブログが読み放題!

あなたのESGリテラシー向上にお役立てください。