国連

319日に発表された世界気象機関(WMO)の「2023年地球気候の現状に関す報告書」によると、2023年は174年間の観測記録の中で最も暖かい年となった。さらに、WMO2023年の世界の平均気温は産業革命以前の18501900年に比べて、少なくとも1.45±0.12)上昇したと発表した。

WMO事務局長のセレステ・サウロ教授は、「気候変動に関するパリ協定の下限気温1.5まで、一時的とはいえ、これほど近づいたことはない。WMOのコミュニティは、世界に向けてレッドアラートを鳴らしている」と強調し

記録的な暑さ

世界全体では、6月から12月までの全ての月が記録的な暖かさとなり、中でも20239月は0.460.54の大差で史上最も暖かかった。 これにより、18501900年の平均気温を1.29±0.12)上回った2016年、1.27±0.13)上回った2020年の記録を塗り替えた。しかし10年単位で見ると、2014年から2023年の10年間の平均気温は1850年から1900年の平均を1.20±0.12上回った。

気象学者によると、この温暖化は主に人的活動による大気中の温室効果ガス濃度の上昇によるもので、2023年半ばにラニーニャ現象からエルニーニョ現象に移行したことによって悪化した。記録的な温暖化は、熱波、洪水、干ばつ、山火事、そして急速に強まる熱帯低気圧を伴い、広範囲に災難と混乱を引き起こし、何百万人もの日常生活を破壊し、何十億ドルもの経済的損失をもたらした

COP28後初回の閣僚会議

WMOの報告書は、321-22日にコペンハーゲンで開催される気候大臣会合を前に発表されたもので、去年国連気候変動会議COP28がドバイで開催され、化石燃料からの脱却を呼びかけて閉幕して以来初めて、世界各国のリーダーや閣僚が一堂に会する。 

重要な議題は、

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2024/3/22

世界気象機関(WMO): 2023年、観測史上最も暑い年

3月19日に発表された世界気象機関(WMO)の「2023年地球気候の現状に関す報告書」によると、2023年は174年間の観測記録の中で最も暖かい年となった。さらに、WMOは2023年の世界の平均気温は産業革命以前の1850〜1900年に比べて、少なくとも1.45℃(±0.12℃)上昇したと発表した。 WMO事務局長のセレステ・サウロ教授は、「気候変動に関するパリ協定の下限気温1.5℃まで、一時的とはいえ、これほど近づいたことはない。WMOのコミュニティは、世界に向けてレッドアラートを鳴らしている」と強調し ...

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2023/12/22

気候変動への適応は失敗している?「2023年適応ギャップ報告書」が警告

ドバイで開かれていた第28回国連気候変動会議COP28が13日、全会一致の合意をもって閉会した。気温上昇における化石燃料排出の役割にくぎを刺し、将来的な石炭・石油・ガスの削減について概要を示したもので、国連は、この合意は歴史的なもので、2015年のパリ協定以来の大きな前進だとしている。*1 しかし、UNEP(国連環境計画)は「2023年適応ギャップ報告書」で、世界中で気候変動のリスクと影響が加速している中、開発途上国が気候変動の影響に適応するために必要とする適応資金は大幅に不足していると警告した。 気候変 ...

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2023/12/30

COP28、石油・ガス・石炭からの段階的な脱却で歴史的合意

2週間にわたる激しい議論と交渉の末、約200カ国の代表が12月13日、国連気候変動会議COP28の最終日に画期的な合意に達し、気候変動の悪影響を緩和するために石油、ガス、石炭の使用を段階的に削減することを誓約した。 アラブ首長国連邦(UAE)のCOP28議長であり、国営石油会社のCEOであるスルタン・アル・ジャベール氏が主宰するこの合意は、12月13日にドバイで最終決定され、国際社会が化石燃料への依存から脱却する決意で一致していることを、世界中の政策立案者や投資家に強いメッセージとして発信した。 サミット ...

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2023/12/8

【COP28連載⑦】118カ国が2030年までに再エネを3倍に拡大

米国、欧州加盟国、日本を含む118カ国が、2030年までに再生可能エネルギーの容量を世界全体で3倍に拡大し、エネルギー効率の改善率を毎年倍増することを誓約した。この合意は、世界の首脳らがドバイで開催されている第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)の3日目に集まった際に発表された。 署名国はまた、再生可能エネルギーとエネルギー効率に関する野心的な国家政策を採択し、この野心を「国が決定する貢献(NDC)」*に反映させること、都市や州政府と協力すること、主要なツールとエネルギー効率改善に焦点を当 ...

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2023/11/30

COP28開幕:重要な争点と成功指標

本日11月30日からドバイで開催される国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)は、初めて石油輸出国機構(OPEC)加盟国であるアラブ首長国連邦が主催国となる。この会議の議長は石油会社のCEOが務めることになっており、グリーンウォッシュや利益相反が懸念されている。ドバイでは、パリ協定の下での世界的な気候変動対策に関する最初の世界的なストックテイクが行われる予定であり、パリ協定に沿ってこれまで温室効果ガス排出量を十分に削減してこなかった世界の失敗を直視し、軌道修正のための行動を加速させる機会となる ...

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2023/11/29

【COP28連載⑤】米中の気候変動合意、再エネを30年までに3倍に

11月15日に行われたアメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談が行われた。*1 首脳会談に先駆け、ジョン・ケリー米国気候担当大統領特使と謝振華中国気候変動担当特使は、気候変動対策に関する米中共同声明を発表した。*2 その共同声明の主な内容について取り上げる。 両国は、停止していた気候変動対策を話し合う作業部会の再開、メタンガス削減などの協力関係を強化することを発表し、パリ協定の目標達成に向けて世界を動かしていく意思を見せた。さらに2030年までに世界の再生可能エネルギーの導入量を3倍増 ...

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2023/11/24

【COP28連載④】EU議会、2025年までに化石燃料補助金を世界的に廃止するよう要求

EU議会は、パリ協定の実施状況を検証する国連気候変動会議COP28に向けた要求事項を採択した。 賛成462票、反対134票、棄権30票で採択された同議会決議は、国連気候変動会議COP28に向けたEUの戦略的目標をまとめたものである。 同決議案は、「できるだけ早く、遅くとも2025年までに」、国レベル、EUレベル、世界レベルで、すべての直接的および間接的な化石燃料補助金の廃止を求めている。 また、2030年までに再生可能エネルギーを3倍、エネルギー効率を2倍にするという世界的な目標を支持するとともに、化石燃 ...

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2023/11/19

【COP28連載③】世界の化石燃料生産計画、パリ協定と矛盾する

11月8日、国連環境計画(UNEP)などが2023「生産ギャップ報告書」を発表した。*1 報告書によれば、2030年時点での化石燃料生産量の予測は、パリ協定の1.5度目標を達成するシナリオ値の2倍であり、適切かつ公平なエネルギー転換に疑問が生じている。今月末、11月30日からアラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)が実施されるが、化石燃料の段階的な廃止がどのように各国首脳らに議論されるか注目される。 「生産ギャップ報告書」とは この報告書は2019年に初めて ...

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2023/11/24

【COP28連載②】世界のCO2排出量は2030年までにわずか2%減少 - 国連

国連は11月12日に発表した最新の報告書で、各国の気候変動対策計画では、2030年までに二酸化炭素排出量を2019年のレベルからわずか2%削減すると推定し、温暖化を1.5℃に抑えるために必要な43%の削減にはほど遠いと警告した。 国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の事務局長サイモン・スティール氏は、毎年恒例の気候変動に関する評価で、世界はパリ協定の目標達成から「大きく外れている」と指摘し、今月ドバイで開催される国連気候変動会議(COP28)で、すでに増加する洪水、熱波、暴風雨に悩まされている世界にとっ ...

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