テクノロジーで気候変動対策に取り組む「気候テック」企業は、この2年間で最も資金調達に成功した四半期となり、脱炭素化や低炭素化に取り組む様々なスタートアップに対して166億ドル(約2兆4800億円)の投資を獲得した。
2023年第3四半期(7−9月)を対象とし、11月2日に発表されたブルームバーグ・ニューエネルギー・ファイナンス(BNEF)のレポートは、エネルギー、運輸、建設、産業、農業など様々な分野にまたがる気候変動対策に資する技術の包括的なレビューを提供している。また、それらの分野への投資も追跡しており、工場からの炭素汚染の回収や地中への貯蔵(CCUS)など、温室効果ガス排出量のモニタリングや緩和を支援するための技術も含まれている。
ベンチャー・キャピタルやプライベート・エクイティ企業からの資金調達額は、差し迫った投資減速の懸念にもかかわらず、第3四半期には前四半期の102億ドル(約1兆5千億円)から約63%急増した。しかし、この3ヶ月間の投資件数は241件と、過去最低を記録した。これは、BNEFが2021年後半に四半期ごとの追跡調査を開始して以来、気候変動関連技術への投資家がますます投資に慎重になっていることを示唆している。
本レポートの共著者であり、BNEFのテクノロジー・イノベーション部門の責任者であるマーク・デイリー氏は、「今四半期の資金調達総額は、数億ドルから数十億ドル規模の少数の案件によって大きく押し上げられた」とコメントした。さらに彼は、この高い総額は、「実際に発生した案件の数が比較的少なかったことを覆い隠している 」と指摘した。
エネルギー、運輸、産業が中心分野
BNEFが追跡している6つのセクターの中で最も資金が集まったのはエネルギーで、7月から9月までのベンチャー企業の資金調達総額は74億ドル(約1兆1千億円)、次いで運輸は46億ドル(約6900億円)、産業は29億ドル(約4300億円)だった。投資額が最も伸びたのは、重工業の脱炭素化に注力する企業で、4四半期平均と比較すると84%も増加した。同レポートは、投資家がグリーンシチール(低炭素鋼材)への投資を倍増させたことが、この増加の主な要因であるとしている。
中国が世界最大の気候テック市場、米国が2位に
投資状況には、地理的な変化もいくつか見られる。
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