国際的なエネルギー情勢を研究するシンクタンクであるグローバル・エネルギー・モニター(GEM)が、風力発電および太陽光発電施設の世界的なデータセットを解析したところ、中国の風力・太陽光発電建設が世界全体の64%を占めていることが判明した。*1
- 中国は339ギガワットの大規模太陽光発電と風力発電を建設中であり、その容量は世界の他の国すべての2倍以上である。
- 太陽光発電と風力発電は現在、中国の総発電容量の37%を占めており、2024年には石炭を上回る。
- 中国の急速な自然エネルギーの増加は、2030年以前に炭素排出量が早期にピークアウトする可能性を示唆している。
中国の再生可能エネルギーが急増
中国は再生可能エネルギーの世界的リーダーとしての地位を固めつつあり、現在180ギガワットの太陽光発電と159ギガワットの風力発電を建設中である。 GEMによると、この合計339ギガワットは、全世界の64%を占めており、アメリカの8倍以上である。さらに、世界の他の地域を合計した量の2倍以上であり、韓国全土の電力を賄うのに十分な量である。*2
2023年の大幅な成長
中国は2023年に、今までの2倍近い容量の大規模の太陽光発電と風力発電を追加した。2024年第1四半期までに、中国の実用規模の太陽光発電容量と風力発電容量の合計は758GWに達したが、中国電力委員会のデータでは、分散型太陽光発電を含む総容量は1,120GWとなっている。風力発電と太陽光発電は現在、中国の総発電容量の37%を占めており、2022年から8%増加し、2024年には現在39%の石炭発電容量を上回ると予想されている。
■建設済 ■建設中 ■建設発表
分散型太陽光発電の拡大
2023年3月から2024年3月にかけて、中国はそれまでの3年間を合わせたよりも多くの太陽光発電を設置し、2023年には世界の他の地域を合わせたよりも多くの太陽光発電を設置した。太陽光発電の拡大は比較的最近で、風力発電を上回ったのは2022年である。その後、分散型太陽光発電の大幅な拡大により、その差は大幅に拡大した。
分散型太陽光発電は総太陽光発電容量の41%を占め、2021年以降、集中型太陽光発電よりも高い成長率を示している。この成長の背景には、投資コストの低さ、設置の容易さ、強力な政策支援といった利点があり、市場での普及が進んでいる。
分散型太陽光発電とは、電力を分散して生成するシステムのことで、具体的には、建物の屋根や駐車場の上など、さまざまな場所に設置された太陽光パネルを使用して電力を生み出すことができる。これにより、電力の供給が集中することなく、各家庭や企業が自らの電力を生成し、消費することを可能にする。実際、2023年に増設された分散型太陽光発電の半分近くは住宅屋根に設置されたもので、「全郡ソーラー」政策が牽引するものである。
この政策は、特定の郡全体で太陽光発電を推進する取り組みで、中国国家エネルギー局(NEA)は、パイロット郡を選定し、住宅の屋根の少なくとも20%、商業および産業施設の30%、公共施設の40%、政府施設の50%に太陽光パネルを設置することを目指している。*3
風力発電の回復
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