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トランプ大統領が就任直後の2025年1月20日、21日に、DEIに関連する大統領令を発布した。これによる連邦政府、企業、大学への影響はどうなるのか、発令から1ヶ月以上たった今どんな変化が起きているのか、今後どのような事態が予測されるのかを本記事にて紹介する。

DEIとはなにか

DEI(Diversity, Equity, and Inclusion)とは、多様性(Diversity)、公平性(Equity)、包括性(Inclusion)の略で、異なる背景を持つ人々が平等な機会を得て活躍できる環境を構築する取り組みを指す。多様性は人種や性別・ジェンダー、年齢、障がいの有無などの違いを受け入れること、公平性は個々の状況に応じた支援を提供し、全員が同じ機会を得られるようにすること、包括性は組織内で誰もが尊重され、意見を反映し、積極的に参加できる環境を整えることを意味する。DEIの目的は、職場の公正性向上、イノベーションの促進、企業の社会的責任の遂行、そして市場競争力の強化にあり、多様な人材を活かすことで組織の成長と社会全体の発展を目指している。*1

アメリカでのDEI政策

アメリカのDEI政策は、歴史的に社会的・経済的に不利な立場に置かれてきたグループのキャリア形成や昇進における構造的な障壁を取り除くことを目的として発展してきた。 その基盤となる政策や法律は、公民権運動を背景に誕生し、時代とともに変化しながら今日に至る。

連邦政府も、バラク・オバマ政権(2009–2017年)では政府機関や連邦契約企業にDEI推進を義務付ける政策を導入し、ジョー・バイデン政権(2021–2025年)では、「DEIA(Diversity, Equity, Inclusion, and Accessibility)」の概念を広げ、公共部門全体で包括的な取り組みを推進してきた。*2

なぜトランプ支持者の右派がDEIに反対しているのか?

一方で、トランプ支持者の多くは、DEIに対して強い反発を示している。その理由の一つは教育機関、政府、企業の一部のDEIプログラムが、人種・性別・性的指向といった要素を基準に特定のグループを優遇することで、DEIが「逆差別」と捉えられていることにある。

特に保守派の間では、DEIが「能力主義(meritocracy)」を損なうと考えられており、特定の人種や性別に優遇措置を与える不公平な政策として認識されている。また、政府や大企業がDEIプログラムを推進することは、個人の自由や経済的競争力を損なうものだという主張もある。*3

トランプ支持者の間では、DEIが「エリート主義」と結び付けられ、大学や大企業などの特定のリベラルな層による価値観の押し付けとみなされている。特に白人労働者階級の間では、「自分たちが冷遇されている」という感情が高まっており、それがDEIに対する反発の大きな要因となっている。*4

大統領就任後、反DEI大統領令が下された

2025年1月20日、21日に、トランプ大統領はDEIに関連する以下の大統領令を発布した。これらの動きは、保守派の間で「公平な競争環境を取り戻す」ものとして歓迎されたが、一方で、多様性を重視するビジネスコミュニティや市民団体からは強い反発を受けた。これにより、連邦政府だけでなく、多くの企業や大学でもDEIプログラムの見直しが進む可能性がある。*5 *6

過激で無駄の多い政府のDEIプログラムと優遇措置の廃止

Ending Radical and Wasteful Government DEI Programs and Preferencing」(Executive Order 14151)は、違法で非倫理的な差別プログラムを撤廃するとされている。行政機関に対し、「違法なDEI」「多様性、公平性、包括性、アクセシビリティ(DEIA)」「環境正義」プログラムや担当職を含むすべての「差別的なプログラムおよび職務」を排除するよう命じたり、各連邦機関に対し、「法の許す限り最大限に」「公平性関連(equity-related)」の助成金や契約を60日以内に終了するように」求めている。

違法な差別に終止符を打ち、実力に基づく機会を取り戻す

Ending Illegal Discrimination and Restoring Merit-Based Opportunity」(Executive Order 14173)は民間部門のDEIプログラムに焦点を当てている。

各連邦機関は、すべての契約および助成金の付与において、契約者や受領者が

「DEIを推進するプログラムを運営しておらず、適用可能な連邦反差別法に違反していない」ことを証明する条項を義務付けることとされており、この条項の遵守は「虚偽請求取締法(False Claims Act)」の適用対象となり、政府の支払い決定において重要な要素となる。さらに、

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