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ジョージ・フロイド、「Black Lives Matter」、そして企業の責任

2020年5月25日、アメリカ・ミネソタ州で46歳のアフリカ系アメリカ人男性ジョージ・フロイドさんが警察の手によって殺害されたことをきっかけに、アメリカでは人種平等を求めるデモが発生し、ここ数十年間で最大規模のものとなりました。

黒人男性が逮捕され、白人警官の膝で首を押さえつけられているという生々しい映像は、その場に居合わせた人々によってソーシャルメディア上で共有され、世界中から反発を受けました。

丸腰で手錠をかけられた黒人男性に対する警察の残虐行為。疑わしい状況下での警察の手によるアフリカ系アメリカ人の死亡という近年繰り返されているこのような事件は、米国における黒人に対する人種差別の現実と、世界中の黒人が直面している深刻な不平等を浮き彫りにしました。

警察の暴力行為と人種差別に反対し、ジョージ・フロイドのために正義を求める抗議行動は、「Black Lives Matter」を旗印に、ミネアポリスから瞬く間に全米200以上の都市に広がり、ロンドン、パリ、シドニー、リオデジャネイロ、大阪など国際的にも広がっていきました。

この騒動は、米国だけでも10万人以上が新型コロナウイルス(COVID-19 )で死亡し、2000万人以上の雇用が失われたという厳しいニュースの中で起こりました。また、COVID-19による死亡率と、安定した雇用を得られない人口の割合において、黒人の比率が著しく高いことが、蔓延している差別と不平等性にさらに火をつけています。

社会的インパクト、責任あるビジネス、ESG、サステナビリティをコアバリューとして掲げている企業にとって、今「Black Lives Matter」への世界的な支持の高まりにはどのような意味があるのでしょうか?

コカ・コーラ、ナイキ、アマゾン、ネットフリックス、ディズニーなど、数え切れないほどの大手グローバルブランドが、黒人のための正義と平等を支持し、人種差別に断固として反対する明確な声明を発表しています。(以下ディズニーとネットフリックスのツイッター投稿にそれぞれ約64万人・100万人が「いいね」しました)

2,000人のアメリカ人を対象にした最近の世論調査では、回答者の60%が、ブランドが抗議行動にどのように反応するかが、回答者が自社製品を購入するかボイコットするかに影響すると答えていることがわかりました。この世論調査では、若い世代が最も強く感じており、ミレニアル世代の回答者の78%が「ブランドは人種的不平等性について発言しなければならない」と答えています。

アメリカ人がブランドにリーダーシップをとってもらい、体系的に行われてきた人種差別に対処する中心的な役割を果たしてもらいたいと考えているようです。消費者はますます人種差別と多様性に明確な立場を取る企業を選ぶようになるからこそ、企業は行動しなければならないのです。

過去、ほとんどの企業は自社の製品がどのように機能するかを語り、製品の品質と実用性を競い合うのみでした。今の若い消費者は、商品を買う前に製品の機能だけではなく、その企業の理念や社会的スタンスから共感したいと考えています。

このような圧力は、全てのグローバル企業に問題を投げかけています。自社の社会的価値観をどのように捉え実行しているか、雇用や企業慣行におけるインクルージョンとダイバーシティをどのように確保しているか、また、役員や従業員のダイバーシティに関する透明性の高い情報開示がされているか、という点を投資家から厳しくチェックされるようになっていくでしょう。

特に、政府や公的機関の行動がマイノリティや弱者に対して平等な扱いに欠けている場合に、著名な企業に課せられた責任はその影響力を活用して、人々の安全性と調和を脅かす人種差別などの社会問題に対して声を上げることです。

自分たちの言葉を持続的な行動と変革に変えることができる企業は、より公正で持続可能な社会を望む新世代の心と支持をも掴み取ることができるでしょう。

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