近年、世界的に深刻さを増す気候危機に対処するために多くのビジネスリーダー、投資家、政策立案者などが温室効果ガズ排出量実質ゼロ(ネットゼロ)の達成を目指すコミットメントを掲げている。
気候変動対策に積極的に取り組んでいるビジネスリーダーの中には、2030年までにゼロエミッションを達成することを約束した1200以上の認定BCorp企業がある。BCorpとはPublic Benefit Corporationの略であり、簡単に言うと「公益」の企業に与えられる認証。BCorpは株主だけでなく、従業員や顧客といったすべてのステークホルダーに対する包括的な利益を目指す。
30年までにネットゼロを目指す1200社のBCorpのリストには、サステイナブルアパレルのリーディング企業であるパタゴニア、サステナブル・フットウェアのイノベーターであるオールバーズ、エコインターネット検索エンジンのエコシア、エシカル・コスメのザ・ボディショップ、そしてグローバルヘルスケア大手のジョンソン・エンド・ジョンソンなどが含まれる。残念ながら日本企業は参加していない。ネットゼロ・エミッションの目標は、スコープ1(自社での燃料燃焼などによる直接排出)、スコープ2(他者から供給される電気・熱などの間接排出)、そして最も関連性の高いスコープ3(原料調達から製品の廃棄等までのサプライチェーン排出量)の排出量に適用され、可能な限り排出量を削減し、排除できない排出量とのバランスをとるために、炭素除去プロジェクトを中心とした検証済みカーボンオフセットを使用することで達成されるという。
BCorpで気候変動対策に積極的に取り組む企業の枠組みである「BCorp Climate Collective」のウェブサイトでも紹介されているように、このコミットメントを行う企業は、公的な誓約を行うことが期待されている。この「クライメート・アクション・プレッジ」には、気候緊急事態宣言を行うこと、短期および長期のステップを含む脱炭素計画を作成すること、これらの目標を達成するための作業を進めること、少なくとも年1回進捗状況を公表することが含まれる。
2030年までにネットゼロを目指す企業に期待される4つの項目 Pledge, Plan, Proceed, Publish(誓約、計画、進む、公表)は、オックスフォード大学のNet Zero Climateイニシアチブが、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のRace To Zeroキャンペーンなどと協力して作成したものだという。世界的に機運が高まる気候変動対策をビジネスチャンスとして捉え、日本企業がこのような国際的キャンペーンに積極的に参加することを期待したい。
参考リンク
B Corp Climate Collective
https://www.bcorpclimatecollective.org/net-zero-2030
B Corp Climate Action Commitment