国連環境計画(UNEP)は「排出ギャップ報告書2026」で、産業革命前からの気温上昇を超過なしで1.5℃未満に抑える目標を達成する機会は失われたと指摘した。気温上昇を2℃未満にとどめ、今世紀末までに1.5℃へ戻すことが残された唯一の選択肢だとし、2040年までに温室効果ガス排出を2025年比で69%減らす道筋と、大規模なCO2除去の必要性を示した。
1.5℃の超過を前提にした新たな目標
2015年に採択されたパリ協定が掲げた、地球温暖化を1.5℃に抑えるという目標は、わずか10年で達成できないものになった。国連環境計画(UNEP)が「排出ギャップ報告書2026」でそう指摘した。*1
「排出ギャップ」とは、各国の約束や政策のもとで見込まれる温室効果ガスの排出量と、気温目標の達成に必要な排出量との差を指す。
「『オーバーシュートなし、または限定的なオーバーシュート』で、1.5℃の排出ギャップを埋める機会は失われた」。「The Point of Return(戻るための地点)」と題する同報告書は、こう述べる。
オーバーシュート(超過)とは、気温上昇が目標の水準を一時的に上回ることをいう。
産業革命前の水準から1.5℃という閾値を超えることは、いまや目前に迫っており、避けられない。
報告書は「1.5℃を超える温暖化が、わずかでも上積みされるたびに、またその状態が1年長引くたびに、氷床、永久凍土に蓄えられた炭素、海洋循環、サンゴの生態系などで不可逆的な変化が起きるリスクが、人間への壊滅的な影響とともに高まる」と指摘する。
喫緊の課題は、今世紀末までに1.5℃へ戻すことを目指しながら、地球温暖化を2℃という閾値の手前にとどめることである。UNEPによれば、これが残された唯一の選択肢だ。
各国の削減計画は必要な水準に遠く及ばない
この道筋を実現するには、世界の温室効果ガス排出量を、2025年の水準と比べて2030年までに18%、2035年までに45%、2040年までに69%削減する必要がある。
しかし、現在の道筋はこれに遠く及ばない。各国政府の約束は「国が決定する貢献(NDC)」と呼ばれ、パリ協定のもとで各国が提出する削減目標である。これが完全に実施されたとしても、排出量の削減は2025年比で2030年までに5〜8%、2035年までに11〜15%にとどまる。
地球環境戦略研究機関(IGES)によると、2013年度以降、日本全体のGHG排出量は着実に減少しているものの、過去10年間の削減ペース(平均31.0 MtCO2e/年)のままでは2030年・2035年・2040年の政府目標や2050年ネット・ゼロ目標の達成には不十分と分析する。2035年の政府目標である2013年度比60%削減を達成するためには、今後の削減ペースを過去10年の約1.2倍(平均37.9 MtCO2e/年)に加速させる必要がある。*2
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、求められる取り組みを「2035年まで、毎年6%近く」と明言した。2035年までに2025年比で45%減らすには、毎年、前年比でおよそ6%ずつ削減を続ける計算になる。
削減を実現するための打ち手
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