ストックホルム環境研究所(SEI)は農産物の世界貿易による気候変動リスクに関する最新の調査報告書を発表した。同報告書によると、農産物貿易を通じてどの国が国境を越えた気候変動リスクにさらされているか、また、どの国が重要なリスク源となっているかを明らかにした。
SEIは、トウモロコシ、コメ、小麦、大豆、サトウキビ、コーヒーの6つの農産品への影響を調査した。麦以外の農産物はいずれも減少する見込みである。
気候変動による農産物への影響
長期的(2070年〜2099年)に予測される農産物の収穫量の変動は以下の通り
- コメ:−8.1%
- 大豆:−7.2%
- サトウキビ:−58.5%
- トウモロコシ:−27.2%
- コーヒー(アラビカ):−45.2%
- 麦:+13.9%
特に悪影響を受ける可能性が高いとされるのはサトウキビ、コーヒーとトウモロコシだ。これらの農産物はいずれも温暖化の悪影響を受けやすい熱帯・低緯度地域で主に生産されており、気候変動による影響を受けやすい。これらの農産品の収穫量の変動は、世界中の市場、国、企業に多大な影響を与えると予測される。例えば、トウモロコシの市場では、気候変動によって米国の生産量が45.5%減少する可能性があるという。
このような事態になれば、世界的にトウモロコシの価格が上昇し、米国の生産者や米国経済、さらには米国産トウモロコシへの依存度が高いジャマイカ、コスタリカ、日本の消費者にも悪影響を及ぼすことになる。
この結果を受け、SEIは、主要な農業生産者の回復力を高めるために協調して投資を行うことが、生産者と消費者に共通の利益をもたらす重要な適応戦略となる可能性を示唆した。また、筆頭著者のケビン・アダムス氏は今後の対策についての考えを以下のように述べている。
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