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オーストラリア最大の炭田を抱える州、再エネ80 %目標を発表

オリンピックを契機とした野心的な再エネ目標の設定

クイーンズランド州労働党政府は、2032年に70%、2035年に80%の再生可能エネルギー目標を新たに掲げ、今後13年間で再生可能エネルギーへの公的・民間投資5.7兆円を誘致する計画を発表した。

同州のアナスタシア・パラスチュク州首相は水曜日、今後10年間におけるエネルギー・雇用計画の一部としてこの新しい目標を発表した。

この計画には、22GWの風力および太陽光発電、11.5GWの屋上太陽光発電、9GWの蓄電池(主に家庭用と業務用)、そして合計7GWの24時間貯蔵可能な2つの大規模揚水発電プロジェクトを含む。

また、主要な石炭火力発電所の隣に建設される「水素対応型」ガス火力発電所については、2035年におけるガスや再生可能な水素による3GWの「調整用」容量になると発表した。さらに輸出産業用に建設される水素電解槽によって、エネルギーシステムの強度が高められることが期待される。

クイーンズランド州がオリンピックを開催する2032年までに再エネ70%、2035年までに80%という新しい目標を掲げたことは国内で最も石炭に依存している州にとって劇的な転換を意味する。これは、2030年の50%目標を大幅に更新し、現在電力部門の20%を占める再生可能エネルギーの割合増加を加速させるものである。

クイーンズランド州が直面する気候危機

州首相はクイーンズランド州がトレス海峡の海面上昇、記録的な大雨、山火事など過去10年間で合計98件の自然災害に直面していることを指摘し、気候緊急事態に直面していることを声明で発表した。

州の労働党政権は2015年に再エネ50%目標を発表していたが、その進捗は遅く、現在では再生可能エネルギーへの移行は他州に遅れをとっている状況である。

しかし、民間企業や大口エネルギー消費者が再生可能エネルギーへの転換を要求していることが明らかとなり、再生可能エネルギーに関連した技術革新の速さと石炭の衰退という現実が突きつけられたことで、クイーンズランド州は再生可能エネルギーへの転換が一層求められている。

今回発表された目標は、オーストラリアのエネルギー市場運営機関が今後30年を踏まえた策定した統合システム計画の中心に位置するものである。

石炭の終焉

この計画の発表により、同州にある8GW以上の石炭火力発電所のほとんどが閉鎖時期を早める必要を迫られ、2035年までに同州の石炭火力への依存を終了することを意味する。その多くは 、再生可能エネルギーによって発電された電気をグリッドに統合するにあたり、電力ネットワークを安定化する「シンクロナスコンデンサ 」として再利用される予定である。 石炭火力発電所は、2026/27年から風力発電への移行に伴い、ピーク時のみ運転し、徐々にシンクロナスコンデンサとしての運転を開始する予定だ。

州首相は、石炭火力発電所が揚水発電が完全に操業するまでの期間、再生可能エネルギーの調整用電源になることを述べた。

再生可能エネルギーは最も安価なエネルギーとなる

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