現在、脱プラスチックへの取り組みを政府や企業が進めてはいるものの、新型コロナウイルスのパンデミックでプラスチック製品の消費が増えている傾向にある。特に、フェイスシールドや手袋、食品のテイクアウト用容器、オンラインショッピングで注文された商品の配送用緩衝材などの需要が増えているが、こうした使い捨てプラスチック製品の多くはリサイクルできず、廃棄物が急増しており問題となっている。
そんな中、非営利の金融シンクタンクであるプラネット・トラッカーが、世界の使い捨てプラスチックの半分以上(58%)が上場企業30社によって生産されており、これらの企業が持続可能な代替品を採用しない限り、数百万人の健康を危険にさらす恐れがあると最新報告書で警鐘を鳴らした。
プラスチック問題は急速に進行しており、2040年までにプラスチック汚染は3倍になると予測され、その80%は使い捨てプラスチックから発生すると予想されている。深刻な変化がなければ、1.5℃シナリオの場合、2050年までにプラスチックのライフサイクル排出量がCO2吸収量約13%を占めると予測されている。
プラネット・トラッカーの最新報告書によると、30社(「ダーティサーティ」)は、使い捨てプラスチック製造サプライチェーンの門番であり、使い捨てプラスチックの普及を減らすための最終的な責任を担っている。このグループは、エクソンモービル、ダウ、リオンデルバッセル、ペトロチャイナ、レプソル、LG Chem、シェブロンなど有名な企業で構成されている。これらの企業を支える投資家はさらに集中しており、ブラックロック、バンガード、キャピタルグループなど資産運用会社の上位10社がダーティサーティの株式の76%(78億米ドル相当)を保有しているという。
報告書によると、ダーティサーティの主要顧客には、プラスチック使用量の削減に関して多くの約束をしている食品大手のユニリーバが含まれているという。また、エクソンモービルは2019年に使い捨てプラスチックから64億5000万米ドルの収益を得ており、全ての使い捨てプラスチックの収益の5.4%を稼ぎ、関係企業の中で最大であったという。さらに、生産量で3位だったタイ本社のインドラマは、使い捨てプラスチック売上の48%を、メキシコのアルペック(8位)は、66%を占めているという。
持続可能なプラスチック生産への転換を目指す企業には、グリーンファイナンスやその他のソリューションがすでに提供されていますが、ダーティサーティの間ではその普及は遅々として進んでおらず、多くの企業が様子見をしているのだという。
本報告書に記載されている使い捨てプラスチック製造企業に対する要求は以下の通りだ。
ここから先は「ThinkESG プレミアム」会員限定の
コンテンツです。
4つの特典が受けられる「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」の詳細についてはこちらをご覧ください。
「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」へはこちらからお申し込みいただけます。