日経アジアの取材によると、海苔の収穫量は過去51年間で最低となった。
日本有数のノリの生産地として知られる有明海の海苔養殖場では、低栄養水準と高温で収穫の量も質も低下している。今年日本では、海苔のほぼ3分の1を輸入しなければならなくなった。
今回の生産量の低迷は、降水量の少なさと海水温の高さによって発生した赤潮(*1)が原因であると報じられている。また河川の水位低下によって重要な栄養素である窒素とリンが減少したことで、海苔が変色し質が低下している。日経アジアによれば、農家からの仕入れ価格は46%上昇し、家庭用海苔の希望小売価格は今月から最大40%上昇するという。
海苔の収穫量の減少の大きな要因である高水温化は、気候変動の影響でより頻繁に起きているのが事実だ。例えば、日本で最も重要な漁業水域のひとつである長崎県周辺の海域と藻場は、この20年間で急激に変化した。国立環境研究所によると、気候変動による海水温の上昇によって、以前はほとんど問題にならなかった植食性魚類の食害が顕在化しているという。魚類の閲覧圧と海藻の生育のバランスが崩れ、現在の環境下で繁殖可能な海藻種が生き残り、適応できない種が減少または死滅したと考えられる。もうひとつの原因は、水温の上昇が海藻の生育上限水温(主要種であるアラメは29℃、カジメは28℃)を超えたことである。その結果、長崎周辺ではこの5年間、両種の海藻が急速に減少・死滅している。
52年ぶりに50億枚以下
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