合計9.2兆ドル(約1300兆円)の運用資産を保有する機関投資家からなるネット・ゼロ・アセットオーナー・アラインス(NZAOA)※は、投資家が投資活動を通じて森林破壊を阻止するための新たなガイドラインを発表した。*1 ※NZAOAは国連環境計画-金融イニシアチブ(UNEP-FI)が事務局を務め、アリアンツ、カリフォルニア州公務員退職年金基金(CALPERS)、日本生命や第一生命などの大手機関投資家が加盟する団体で、メンバーは2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロの投融資ポートフォリオに移行することをコ ...
GX-ETS(国内排出量取引制度)における排出量取引の二酸化炭素1トンあたりの価格は、現時点では政府が上限と下限の価格を定める方針であり、具体的な価格はまだ決定していない。EUの排出量取引制度(EU-ETS)の価格は、1トンあたり約72ユーロ(約1万1700円)程度で推移しており、今後の取引価格の水準が注目されている。 一方で、シカゴ大学の研究によれば、炭素1トンの排出による「最終的なコスト」は約1450万円(10万米ドル)に達する可能性がある。EUの炭素価格と同等レベルの従来の社会的炭素コストと言われて ...
世界気象機関(WMO)の最新の気候予測によると、世界の平均気温は今後5年間、記録的なレベルかそれに近い状態が続くと予想される*1。WMOは温暖化に伴う気候リスクは社会、経済、持続可能な開発への影響を増大させると警鐘を鳴らしている。 2024年は、世界の地表面付近気温が1850~1900年平均を1.55±0.13℃上回り、175年間の観測記録の中で最も暖かい年になったとWMOが3月に報告されているばかりだ。今回の調査報告書で、気候変動の痕跡がさらに浮き彫りになる。 目次 WMOによる主な予測 今後5年間のう ...
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世界最大のカーボンクレジット認証機関であるヴェラ(英:Verra)は、石炭火力発電所の早期廃止と再生可能エネルギーへの代替を可能にするプロジェクトからカーボンクレジットを発行する新たな方法論を5月上旬に承認した。*1 注目を集めるトランジション・クレジット これは、世界的なエネルギー転換における重要なボトルネックのひとつである石炭火力の段階的廃止に取り組むための待望の方法論である。特に、開発途上国の石炭火力発電所には通常数十年の運転寿命が残されているため、これらのアセットを予定より早く廃止させるにはコスト ...
気候変動適応は避けられないニーズであり、また投資機会でもある。気候変動による物理的影響が深刻化する中で、気候変動適応は脱炭素化と並び立つ、重要かつ補完的な投資テーマとして台頭している。本記事では、気候変動の物理的影響に対応する「気候変動適応(climate adaptation)」への投資が、今後どのような規模で拡大し、どのような資本の動員が必要となるかについて、シンガポール政府投資公社による最新の調査を基に詳しく解説する。 気候変動適応が浮上する新たな投資テーマ 気候変動による物理的影響が深刻化する中で ...
トランプ政権は2026会計年度の予算案を明らかにした。予算の概要によれば、新たな国際援助支出はわずか96億ドルで、過去に承認された資金の削減を考慮すると83.7%の削減となる。*1 この予算が成立すれば、ドナルド・トランプ米大統領の予算要求は、開発援助や経済支援基金などの資金枠全体が廃止されるか、29億ドルの新しい「アメリカ第一の機会基金」に統合されることを意味する。 勝ち組は少なく、アメリカの国際開発金融公社が28億ドル、世界銀行の国際開発協会が3年間で32億ドルが約束されている。後者はジョー・バイデン ...
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世界111の化石燃料関連企業による排出が、1991年から2020年の間に約28兆ドル(約4,000兆円)相当の熱波被害をもたらしたとする研究結果が発表された。研究では、排出量ごとの気温上昇や経済損失が企業別に数値化され、5社だけで全体の3分の1を占めることが明らかになった。この手法は、企業ごとの「気候変動責任」※を科学的に裏付ける新たな証拠として注目されている。 ※気候変動責任とは?気候変動責任(climate liability)とは、気候変動に起因する損害に対する法的責任のことで、過去と将来の損害の両 ...
英国政府は、カーボンクレジットの使用に関する新たな原則とガイドラインを提案し、意見募集を開始した。本記事では、英国政府の方針を中心に、企業の脱炭素への取り組みを評価する最新動向を詳しく紹介する。 英国政府、カーボンクレジット使用に関する6つの原則を提案 英国政府は、企業やその他の組織がカーボンクレジットを利用して気候変動戦略を推進する方法に関する原則とガイドラインの意見募集を4月17日に開始した。*1 昨年11月、政府は企業によるカーボンおよびネイチャークレジットの活用に「明確で適切な役割」があると認めた ...
エネルギーに特化したシンクタンク「エンバー」の最新の報告書によると、2024年、再生可能エネルギーと原子力が世界の電力供給の40.9%を占め、クリーンエネルギーの成長が加速していることが明らかになった。*1 これに対し、米国ではトランプ政権が化石燃料の利用を推進し、再生可能エネルギーへの転換が後退している。しかし、他国、特にアジア市場ではクリーンエネルギーの導入が着実に進んでおり、今後のエネルギー市場における変革を予感させる。 世界のクリーンエネルギーの進展とアメリカの後退 2024年、世界の電力供給にお ...
国際海事機関(IMO)は、2050年までに船舶からの温室効果ガス(GHG)排出量 をネットゼロにすることを目指し、世界全体で船舶からのGHG 排出量を削減する法的拘束力のある枠組みの確立に向け、新たな重要な一歩を踏み出した。 *1 IMOのネット・ゼロ・フレームワークは、産業セクター全体にわたる強制的な排出制限とカーボン・プライシングを組み合わせた世界初のものである。 2025年4月7日から11日にかけて開催された海洋環境保護委員会(MEPC)*の第83回会合(MEPC83)で承認されたこの措置には、 ...
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