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IEA:2050年ネットゼロ・シナリオを発表

5月18日、国際エネルギー機関(IEA)は、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度C未満に抑える目標を達成するための、世界のエネルギー部門の2050年ネット・ゼロ・エミッション(NZE)シナリオを発表した。IEAが地球温暖化を「1.5℃」に抑える目標に沿ったエネルギー転換経路を発表したのは、今回が初めてとなる。

同報告書は、安定した安価なエネルギー供給を確保し、普遍的なエネルギーアクセスを実現し、強固な経済成長を可能にしながら、2050年までにエネルギーシステムにおける温室効果ガス排出量を実質ゼロ(ネット・ゼロ)に移行する方法を世界で初めて包括的に研究したものだ。IEAは、費用対効果が高く、経済的にも生産性の高い経路を示し、化石燃料の代わりに太陽光や風力などの再生可能エネルギーが中心となる、クリーンでダイナミックかつ弾力性のあるエネルギー経済を実現することが可能と指摘する。

IEAの最新の報告書には、再生可能エネルギーを中心としたゼロエミッション・エネルギー源への急速なシフトの必要性と明確な道筋を示している。主な結論は以下の通りだ。

  • 今年以降、新たな石油・天然ガス開発事業や、炭鉱の新設・拡張を行わない(既にコミットしているものを除く)。
  • 今年以降、石炭火力発電所の新設を行わない(二酸化炭素回収・貯留措置付きの火力を除く)。
  • 2025年までに化石燃料ボイラーの新規販売を行わない
  • 2030年までにOECDにおける石炭火力発電からの撤退。
  • 2030年までに世界の総電力量に占める自然エネルギーの割合は60%以上に上る。
  • 2030年までに世界の自動車販売の60%を電気自動車(EV)とし、2035年までに内燃機関自動車の新規販売を行わない
  • 2035年までに先進国の電力が実質ゼロエミッションになる。
  • 2040年までに、世界の電力が実質ゼロ・エミッションとなり、炭素回収・貯留技術が設置されていないすべての石炭および石油発電所が段階的に廃止される。
  • 2050年までに世界の電力の90%を自然エネルギーでまかない(内70%を太陽光発電と風力発電)、これらの主要な自然エネルギー技術を大規模かつ再現性のある形で拡大する。

この報告書では、短期的には、クリーンで効率的なエネルギー技術を直ちに大規模に導入し、技術革新を加速するために世界規模で取り組むことを必要とする「ネット・ゼロ・パスウェイ」が示されている。この道筋では、2030年までに太陽光発電の年間導入量を630ギガワットに、風力発電の年間導入量を390ギガワットにすることを求めている。これは、2020年に記録された水準の4倍に相当する。これにより、世界の総電力量に占める自然エネルギーの割合は、2020年の29%から、2030年には60%以上、2050年には90%近くまで上昇するという。日本は現在2030年度の電源構成を決める次期エネルギー基本計画を検討している中、IEAの最新の分析を考慮し、国のエネルギー政策を管理する経済産業省に自然エネルギー中心としたシステム変革を軌道に乗せる大胆な実施計画を期待したい。


参考リンク

IEA:https://www.iea.org/reports/net-zero-by-2050 

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