9月9日、ハーバード大学は化石燃料への投資を中止する方針を明らかにした。化石燃料投資から撤退する代わりにその巨額の420億ドル(約4兆6000億円)の寄付基金を使ってグリーン経済への投資を拡大し、汚染産業から離れる投資家の波に加わる。
ハーバード大学では過去10年間にわたり、化石燃料関連の株の売却を求める学生やOBOGの声に対抗してきたが、2018年から就任したローレンス・バカウ学長をはじめとする新しいリーダーのもとで、方向転換が進んだ。
ハーバード大学は、気候変動について以下のように述べている。
“Climate change is the most consequential threat facing humanity. The last several months have laid at our feet undeniable evidence of the world to come—massive fires that consume entire towns, unprecedented flooding that inundates major urban areas, record heat waves and drought that devastate food supplies and increase water scarcity. Few, if any, parts of the globe are being spared as livelihoods are dashed, lives are lost, and regions are rendered unlivable. Moreover, as the latest report of the UN Inter-governmental Panel on Climate Change suggests, without concerted action, this dire situation is only going to get worse.”
Harvard University Office of the President
「 気候変動は、人類が直面する最も重大な脅威です。過去数ヶ月は町全体を焼き尽くす大規模な火災、主要な都市を浸水させる前例のない洪水、記録的な熱波や干ばつにより、食糧供給に多大な影響を与え、水不足が深刻化しています。生活が破壊され、人命が失われ、地域に住めなくなっても、地球上のほとんどの地域では、それを免れることはできません。さらに国連気候変動に関する政府間パネルの最新の報告が示唆しているように、気候変動対策について積極的な動きがなければ、この悲惨な状況は悪化する一方です」。
ハーバード大学学長室
米国で最も裕福なアイビーリーグ大学ーであるハーバードは、カリフォルニア大学や英国のケンブリッジ大学などに続き、化石燃料産業からの投資撤退「ダイベストメント」に踏み切ったことは、深刻化する気候変動問題ヘの危機感の高まりを浮き彫りにしている。
ハーバードの大学性を中心として活動してきたアクティビストグループのひとつである「Divest Harvard」は、ツイッターで今回の動きを「私たちのコミュニティ、気候変動運動、そして世界にとっての大勝利であり、化石燃料産業の力に対して打撃を与える」と表現している。
ハーバード大学の投資戦略はグリーンエコノミーを軸とする。
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