現在、世界的に気候変動に対する迅速な対策が進められている。中でも、先進国は大きな影響力を持っていることからより積極的な対応が求められる。
そんな中、先日ドイツは、世界の先進国間の新しい気候同盟の計画を発表し、国際的な気候変動対策に変化をもたらすことを約束した。2022年、ドイツはG7の議長国であり、裕福な民主主義諸国が地球規模の課題の解決策を議論する重要な役割を担っている。(G7は、ドイツのほか、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、日本、カナダで構成されている。)
昨年12月に長年の指導者であったアンゲラ・メルケルに代わってドイツの新首相となったオラフ・ショルツは、G7諸国を国際的な「気候クラブ」の創設メンバーにしたいと考えている。この同盟は、共通の気候変動対策基準を設定し、それを満たさない国にはコストを課すことになる。
「気候クラブ」という概念は、2015年にノーベル賞受賞経済学者ウィリアム・ノードハウス氏が提唱し、その後、国際政策界で定着してきた。1997年の京都議定書や2015年のパリ協定など、国連の気候変動に関する協定は自主的なものである。そこで、ノードハウス氏は、このことが、自国の国益を過度に重視する一部の国々に、気候変動対策にかかる世界的なコストの負担を最小限に抑えようとするインセンティブを与えていると主張している。
つまり、責任ある国々がクリーンな新技術に切り替えるためのコストを負担する一方で、「ただ乗り」する国々は、その技術やより安全な気候から恩恵を受けながら、自国の排出量を十分に削減しないでいることが可能なのです。
この問題に対処するために、ノードハウスは気候協力のための「クラブ」モデルを提案している。クラブのメンバー(気候変動対策にいち早く着手した国)は、優遇を受け、競争上の不利益から保護されることになる。
クラブメンバーは、温室効果ガスの排出削減計画を調和させ、共通の目標に向かって努力する。そして、世界的な義務を果たさない国には、加盟国への輸出に課されるなどの罰則が課されるという。
ドイツ首相に就任してわずか1カ月後、オラフ・ショルツは1月の世界経済フォーラムで、ドイツはG7を国際的な気候クラブの核にするつもりであると発表した。ショルツは以前から気候変動対策に熱心で、昨年8月には、ドイツの財務大臣として、彼は「A-B-C」モデルを提案した。以下にモデル提案をあげる。
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