ESGニュース ThinkESGプレミアム会員限定

大手ファッションブランドの4分の1が脱炭素化について何も公表していない

リーボック、トム・フォード、DKNYなど、世界最大のファッションブランドのほぼ4分の1が、脱炭素化に関する公的な計画を持っていないことが、最新の報告書で明らかになった。場合によっては、工場近くの水域から化学物質が検出されることもある。*1

2024年8月1日に発表された世界最大のファッション・アクティビズム運動であるファッション・レボリューションの最新報告書「What Fuels Fashion?(何がファッションを動かすのか?)」は、世界最大のファッションブランドと小売業者250社(売上高4億ドル以上)を、気候変動とエネルギー関連の行動に関する情報公開に基づいて分析し、ランク付けしたものである。 この報告書は、アカウンタビリティ(説明責任)、脱炭素化、エネルギー調達、脱炭素化のための資金調達、公正な移行とアドボカシーをカバーし、70以上のデータポイントを網羅している。

ファッション業界は、生産のあらゆる段階で化石燃料が燃焼され、依然として最も汚染された産業のひとつである

しかし、報告書によると、250ブランドのうち、温室効果ガス排出量実質ゼロ目標を掲げていたのは半数以下のわずか117ブランドであった。 このうち、進捗状況を開示しているのは105ブランドであった。 報告書によると、86%の企業が石炭を廃止する目標を公表しておらず、94%の企業が再生可能エネルギーの調達目標を公表していない。半数以下(43%)のブランドは、石炭、ガス、再生可能エネルギーのいずれからエネルギーを調達しているかについて透明性を保っている。またファッション業界には、過多な服の生産量により、その多くが埋立処分されてしまうという懸念があり、報告書では、この点に関して説明責任の問題があると指摘し、ほとんどの大手ファッションブランド(89%)が、毎年どれだけの服を生産しているかを開示していないとしている。

ファッション・レボリューションによると、ファッション業界のサプライチェーンにクリーンな電力を供給するために、石炭のような化石燃料から風力や太陽光のような再生可能エネルギーへの公正な移行に投資する代わりに、ファッションブランドはそのコストを取引先の工場に押し付けている。ブランドの気候変動目標を達成するためにサプライヤーに借金を負わせることは不公平であり、ファッションブランドとそのサプライヤー、そして私たちの服を作る人々の間に存在する力の不均衡を永続させるものである。

工場リストを開示しているブランドや小売業者は約半数(52%)で、加工施設を公表しているところはさらに少ない。 サプライヤーの化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を支援する力があるにも限らず、大手ファッションブランドのほぼすべて(94%)は、サプライチェーンの脱炭素化にどれだけ投資しているかを開示していない。 公表している14ブランド(6%)は、ファッション気候基金(Fashion Climate Fund)やフューチャー・サプライヤー・イニシアティブ(Future Supplier Initiative)のような共同気候基金に寄付している。*3

昨今気候危機が深刻化しているにもかかわらず、ビッグブランドの気候変動目標は、気温上昇を産業革命前より1.5℃未満に抑制するという世界的な目標を達成するのに十分ではない。 

脱炭素スコアが0の大手企業32社

報告書によると、研究者たちは、排出量目標、サプライチェーンの透明性、再生可能エネルギーが工場で使用されているかどうかなど、70の異なるサステナビリティー基準を評価し、ファッションチェーンにスコアを与えた。DKNY、トム・フォード、リーボックなどの企業は、報告書において脱炭素化スコアが0%であり、サプライチェーンから排出量を削減する計画を十分に示していないことが判明した。 また、Urban OutfittersとDolce & Gabbanaのスコアは3%と非常に低かった。

 ブランド全体の平均スコアは18%であったが、なんと32の主要ブランド(※)が2024年最低得点の0%に該当した。中にもスポーツメジャーのリーボックやファーストファッションのフォーエバー21、ラグジュアリーのマックスマールやサーフブランドのビラボンやロクシーも含まれる。

※32の主要ブランド: Aeropostale、BCBGMAXAZRIA、Beanpole、Belle、Billabong、Bosideng、Celio、DKNY、Fabletics、Fashion Nova、Forever 21、Heilan Home、KOOVS、Longchamp、Max Mara、Metersbonwe、 Mexx、New Yorker、Nine West、Quicksilver、Reebok、Revolve、Roxy、Saks Fifth Avenue、Savage X Fenty、Semir、Smart Bazaar、Splash、Tom Ford、Tory Burch、Van Heusen、Youngor

サステナビリティ基準でプーマが1位

一方で、持続可能性に関して総合的に最もスコアが高かったブランドは、プーマ(75%)、グッチ(74%)、H&M(61%)であった。 ファッション・レボリューションが精査した250ブランドのうち、国連が地球温暖化を1.5℃未満に抑えるために必要とする2030年までの排出削減目標(2018年比55%減)に整合している目標を設定した企業ははわずか4ブランド(アシックス、H&M、マークス&スペンサー、パタゴニア)のみであった。

2024年に最も得点の高いブランド、日本勢トップ10にランクイン

1位 プーマ 75%

2位 グッチ 74%

3位 H&M 61%

ここから先は「ThinkESG プレミアム」会員限定の
コンテンツです。

4つの特典が受けられる「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」の詳細についてはこちらをご覧ください

「ThinkESG プレミアム会員(1ヶ月定期購読)」へはこちらからお申し込みいただけます

「ThinkESG プレミアム」会員の方はログインしてください。

ThinkESGプレミアム

プレミアム会員になる

-ESGニュース, ThinkESGプレミアム会員限定
-, , ,

© 2024 ThinkESG

ThinkESGプレミアム会員になりませんか?

ThinkESGプレミアム会員募集中!月々ワンコイン(495円税込み)で、最新のESGニュースやブログが読み放題!

あなたのESGリテラシー向上にお役立てください。