【5/19】世界33カ国から集まった155企業が、世界中の政府に対し、新型コロナウィルスの感染拡大からの経済復興の対策で気候変動を重視することを要求する声明を発表しました。
今回声明を発表した企業には、国際的大企業であるユニリバーやHP、H&M、IKEAなどが含まれます。また日本企業からは、前田建設、マルイ、高砂香科工業、YKKの社長が署名しています。これらの企業は34セクターにまたがり、合計の時価総額は2.4兆米ドル以上、従業員数は500万人以上に及びます。
この発表は、気候変動に関するパリ協定の下で設定された温暖化ガス削減目標に企業が自らコミットする「サイエンス・ベース・ターゲット・イニシアチブ」(SBTi)によってアレンジされました。SBTiは、国連や国際環境団体によって設立された組織で、科学的知見に基づき事業活動に伴うCO2排出量を大幅に削減する計画を作成することを誓った、またはすでに実施している800以上の企業と連携しています。(SBTiに加盟している日本企業65社は以前のブログで紹介しています)
コロナウィルス感染拡大の第一波収束の兆しが見えてきた今、世界中で復興パッケージに関する議論が活発化しています。SBTiに賛同しているこれら155の署名企業は、各国政府に2050年までにCO2排出量をゼロにすることに合わせて、世界の気温上昇を産業革命以前のレベルから1.5℃以内に抑える努力を支援することを求めています。そのような取り組みにより、将来のショックに対する回復力を構築する政策を求めているのです。また今回声明を出した企業以外にも、すでに多くの機関投資家、世界の金融機関、財務省や中央銀行の役人から、環境に配慮した回復(グリーン・リカバリー)を求める声が上がっています。
英オックスフォード大学の研究によると、気候変動対策を重視した政策や支出は、将来のショックや災害に対する脆弱性を減らし、良い雇用を創出し、排出量を減らし、クリーンな空気を確保することになるという。
国連事務総長アントニオ・グテーレスは、「命と生活を守り、包括的に豊かで持続可能な未来を築くことは、コロナウィルスからの回復に向けた我々の最重要目標です」と述べました。さらに彼は、多くの企業が、このような困難な状況下でも、温室効果ガスの排出削減計画を採用することが可能であり、しかもそれが利益を生むことを示しています。
多くの企業はコロナショックによって打撃を受けていますが、ポストコロナを見据えてより持続可能な社会経済を構築していく重要性を訴えています。これらの企業の今後の活躍は期待されるでしょう。(企業リスト一覧はこちらから)
【参考リンク】
Over 150 global corporations urge world leaders for net-zero recovery from COVID-19
Companies Worth $2 Trillion Are Calling for a Green Recovery