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SBTi: 企業の気候変動目標は1.5℃を承認基準とする

企業の環境経営を世界的な気候変動目標に一致させることを目的としたイニシアチブであるSBTi(Science Based Targets initiative)は、温暖化対策の加速と拡大を目的とした新たな戦略の一環として、世界の気温上昇を1.5℃に抑えることを前提としたシナリオに沿った温室効果ガズ削減目標のみを「科学的根拠に基づいた目標設定」として受け入れることを発表した。

2015年に設立されたSBTiは、CDP、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)の協力により、科学的根拠に基づく気候変動目標設定を企業の標準的な慣行として確立することを目的として結成された。

SBTiによる目標設定のプロセスにより、企業は、気候変動の最悪の影響を防ぐために、温暖化を1.5℃に抑えるというパリ協定の努力目標に合わせて、事業セクターに必要とされる温室効果ガス排出削減量と整合性のある自社目標を設定することが求められる。SBTiは民間の自主的気候変動対策の世界的スタンダートとして幅広く受け入れられ、今やSBTiによる目標の承認を得ることは、企業のサステナビリティへの取り組みにとって重要な評価基準とみなされている。現在までに、1,600社以上の企業がSBTiに参加し、気候変動へ取り組みの一貫として脱炭素計画を策定している。

SBTiは発足時に、企業の気候変動計画を承認する際の基準として、地球温暖化を2℃に抑えるための行動と一致していることを定てた。2018年に国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「1.5℃に関する特別報告書」が発表され、気候危機に関する世界的な対応の強化が求められたことを受けて、SBTiは承認フレームワークの最低野心度を2℃から2℃を大きく下回る水準に引き上げ、地球温暖化を1.5℃以下に抑えることを目的とした企業の気候目標設定を加速することを目的としたキャンペーン「Business Ambition for 1.5℃」を開始した。

SBTiは、気候変動対策をさらに加速させる必要があるとして、今回、1.5℃を目標設定の枠組みにおける中心的な野心とし、1年後からはこの野心を満たさない目標は認められなくなる。

SBTiのマネージングディレクターであるアルベルト・カリッロ・ピネダは、新戦略を紹介する声明の中で次のように述べた。

「SBTiの最近の調査によると、G7諸国では科学的根拠に基づく目標設定が大きく進展しているにもかかわらず、G7の主要株式指標でパリ目標に合致しているものはありません。また、新興国の企業や、削減コストの高いセクターでは、導入が限られている。

「温暖化を1.5℃に抑えるための行動を直ちに拡大することは、私たちが知る社会を維持するための最後のチャンスです。これからの数年間が非常に重要です。だからこそ、私たちは、1.5℃に沿った企業目標を加速させ、主流にするための大胆な新戦略を立ち上げました」と強調した。

SBTiのマネージングディレクター、アルベルト・カリッロ・ピネダ氏

すでにSBTiに沿った目標を設定している企業に対しては、同イニシアチブは、できるだけ早く目標をアップグレードするよう促す予定だ。

参考リンク

https://sciencebasedtargets.org/news/sbti-raises-the-bar-to-1-5-c

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